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「自分で料理してるんですか?」「もちろん」26歳の大谷翔平が語っていた野球三昧な日々と“ささやかな幸せ”「日曜日にスタバに行って…」 

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石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

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photograph byGetty Images

posted2024/03/02 17:00

「自分で料理してるんですか?」「もちろん」26歳の大谷翔平が語っていた野球三昧な日々と“ささやかな幸せ”「日曜日にスタバに行って…」<Number Web> photograph by Getty Images

難しいシーズンになった2020年の大谷翔平。「焦らないようにはしていない」と語った

7号は唯一のいいホームランだった

――左ピッチャーに対して“いいラインを出す”というのが今シーズンの目標の一つだった、ということですか。

「左に対しては出ている数字以上によかったと思ってます。(クレイトン・)カーショウ(ドジャース)と対戦したときも打球が野手の正面に飛んでアウトになったというのはありましたが、打っている感じはすごくよかったんです。どちらかというと、その分、右ピッチャーに対応しきれていないなという感じがありました。右のスライダーになかなかラインが出せなかった。そこはどっちも出せるようにならないと……対右は今まで通りのバッティングをしながら、今年のように対左のラインを出せていけたらいいんじゃないかなと思います」

――右のスライダーにラインが出せないのには思い当たる理由があるんですか。

「いくつかありますね。右のスライダーは今まではむしろいちばん得意なくらいの感じだったので、あんまり頭になくても捌ける球種だったんです。だからどうやって打とうとか、考えたことがなかった。それが、今年は左に対してどうやってラインを出そうかとか、どうやって打とうかとか、今まであまりやってこなかった左を基準にしたバッティングを考えているうちに、右のスライダーに対するケアが疎かになって、練習で出た軌道のズレがそのまま試合で出てしまうことが多かったように思います」

「悪かったものがいっぱい」

――軌道のズレ、というのは具体的にはどんな形で現れていたんでしょう。

「手が先行してるな、という感じはありました。去年、ずっと左ヒザが痛くて、その中で1年間振り続けた結果、手で先に打ちに行くという軌道のズレが出てしまっていました。そこを修正し切れずにいたんです」

――「よくないことも含めて経験することが大事だ」と仰っている大谷さんですが、手応えを掴んだ感覚はあったんですか。

「唯一、いいホームランだったのは、左から打った(7号)一本だけで、他はなかったですね。他にも振り心地がよかった打席は少なかったと思います」

――それでも、その経験はポジティブに捉えられるものなんですか。

「うん、そうですね。今年に限って言えばよかったものがほとんどなくて、悪かったというものがいっぱい出ていたので、このオフは、そういうふうにならない練習を心掛けてやろうかなと思っています」

――つまり、悪いところを修正する練習?

「たとえば手が先行する僕が、打ちにいくとき、右ヒジが上がるように見える動作を直したいと思ったら、ヒジを上げないように意識するのか、ポイントが近いから上がるのか、ポイントを前にすればいいのか、自分の振りたい軌道に合わせればいいのか……いろいろなやり方があります。その中から今の自分に合ったやり方を見つけないといけないな、と」

【次ページ】 プロに入ってからは、時間がないなと焦って

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