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「全部勝つくらいの気持ちで」12球団唯一の“高卒ドラ1投手”ソフトバンク・前田悠伍のキャンプ事情…関係者は「実戦登板もそう遠くはない」 

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沢井史

沢井史Fumi Sawai

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photograph byFumi Sawai

posted2024/02/28 06:00

「全部勝つくらいの気持ちで」12球団唯一の“高卒ドラ1投手”ソフトバンク・前田悠伍のキャンプ事情…関係者は「実戦登板もそう遠くはない」<Number Web> photograph by Fumi Sawai

大学生投手の当たり年と言われた昨年のドラフトで、12球団唯一の“高卒ドラ1投手”となったソフトバンクの前田悠伍

 高卒ルーキーだから、もちろん無理はさせない。体力的な部分やヒジなどのコンディションを見ながらじっくりと調整を進めている。前田からすれば昨年投げられなかった時のことを思うと、ブルペン投球ができているのだから充実感がその表情に溢れている。

「体の状態は良いですし、これからピッチングをする回数も増えていくと思います。とにかく投げていって、感覚を磨けていけたら」

 高校時代から、前田はとにかく負けん気を全開にすることが多かった。

 1年の冬、“無双”した秋の大会を振り返った時、当時の良さ、反省点などを挙げながらも上級生の投手がいるにもかかわらず「自分が投げて、全部勝つくらいの気持ちで。誰にも負けたくないんです」と勝ち気な表情を浮かべて語っていたことを思い出す。マウンドでは向こうっ気の強さを前面に出し、相手が上級生だろうと打者に果敢に立ち向かっていた。

 18年間を過ごした関西を離れ今は初めてのことづくめで慣れないことも多いが、まっさらな気持ちでスタートするには最高の環境とも言える。高校時代に見せた強い目力で打者を見下ろすようなピッチングを、プロの投手として、いつ、どういった形で見ることができるのか。今はその牙を研いでいる最中だ。

「早く試合で投げられるようになりたいですね」

 新しい環境はどうか、福岡での生活はどんな感じなのかを尋ねると、前田はすかさずこう返した。

「福岡に来てから……まだ一度も外出していないんです。でも、今は毎日が楽しいです。早く試合で投げられるようになりたいですね」

 言葉数は少なかったが、その一言には感情がこもっていた。世代交代が進むソフトバンクで、間違いなく次世代を背負う一人となるだろう。背番号41がマウンドで映える日を目指して――。“未来のエース”は今、プロ野球の世界の扉の前に立ったばかりだ。

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