プロ野球PRESSBACK NUMBER
「全部勝つくらいの気持ちで」12球団唯一の“高卒ドラ1投手”ソフトバンク・前田悠伍のキャンプ事情…関係者は「実戦登板もそう遠くはない」
posted2024/02/28 06:00
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by
Fumi Sawai
春季キャンプ第5クール2日目。今キャンプで3度目のブルペンに入った前田悠伍は、ゆっくりと体を慣らしてからブルペンに立つと、1球1球感触を確かめながらミットを目がけて腕を振った。
トータルで30球。ストレート、キレのある変化球を織り交ぜ、多くの報道陣やファンが見守る中で前田の速球が音を立ててミットに吸い込まれていく。途中で帽子を落とすことが幾度かあったものの、球の走りは決して悪くはないように映った。
ブルペン投球を終えてサブグラウンドでダッシュを数本繰り返したのち、ブルペン投球について前田はこう振り返った。
「状態的には良かったんですけれど、身体が横ブリになっていて(球に)横のズレがあったような気がします。出力は……8割くらいで投げられるようになってきました。(初めてのキャンプ後半による)疲れはないんですけれど、今日は悪い時の癖が出ていました。身体はいい状態なので、身体のせいっていうのはないです。今日は良くはなかったんですけれど良いボールもあったので、それを踏まえれば良い状態にあると思います。ちょっとの修正をすれば普通になると思います」
この日、捕手は中腰になって捕球していた。2度目のブルペン投球では捕手は立ったままだったという。段階を踏みながら徐々に投げる感覚を取り戻し、プロ仕様のピッチングに向け、少しずつ歩みを進めようとしている。
12球団で唯一の「高校生ドラフト1位投手」
昨秋のドラフト会議は大学生の当たり年と言われ、12球団中9球団から大学生投手、もしくは野手が1位指名を受けた。例年、ドラフトでは将来性の高い高校生投手が数人1位指名を受けることが多いが、昨秋は高校生投手で唯一、前田だけが1位指名を受けた。
大阪桐蔭では1年秋から公式戦のマウンドで主戦級の快投を見せ、早くからドラフト上位候補と囁かれてきた左腕。特に公式戦デビューした1年秋は、11試合に登板し57回2/3を投げ50奪三振、防御率は0.78をマーク。