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地元・大船渡の夜空を見上げ「こんなに星が綺麗だったのか…」ロッテ・佐々木朗希が秘めていた思い「笑顔が増えた」キャンプから始まる5年目の青写真
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2024/02/12 11:01
キャンプでの練習の合間にリラックした表情を見せる佐々木朗希
佐々木朗希もそんな指揮官の期待に応えるべく明確なビジョンを描きながらキャンプをスタートした。「去年、一昨年と調整が早かったので今年は、しっかり身体作りをやって土台を作り、その中で少しずつ実戦に向けて調整していこうと思っています。自分のペースでやっていけたらと思います」と力強く語る。
目指すは開幕ローテーション入りから、1年間フル稼働すること。すでに練習試合での最初の実戦登板日は指揮官より提示されており、そこから逆算した調整を自分の中で作り上げている。
夏場を見越した身体作り
「実戦はそんなに早く投げるわけではないので自分の感覚を大切にしながら徐々に球数を増やしていけたらなと思います。WBCがあった去年と比べて仕上がりを急ぐ必要はない。去年は急いで調整を進めて早め早めのピッチングで、完成させるために必死だったので、今年はじっくり丁寧にピッチングをして、いろいろ考えながら、試しながらやっていきたいと思います」
昨年は夏場に脇腹を痛め、その後、体調不良のアクシデントにも見舞われた。規定投球回数の到達や、初の二桁勝利、奪三振などのタイトルも視野に入った中でのシーズン真っ盛りの離脱。悔しさは人一倍だ。あの苦い思いと、反省を生かす。毎年、夏場に入ると疲れが出始めることもあり、今年は鬼門でもある真夏にパフォーマンスを発揮できる身体作りを目指している。
「一年の土台となる身体の強さを作ることをオフからしっかりやってきたので、それをこれからも継続してやっていきます。今年はそれが去年より長く取り組めると思うので、続けていけば身体の強さだったりパワーだったりはおのずとついてくると思う」
増えた笑顔と漂う余裕
キャンプでは例年よりリラックスした表情を浮かべる。プロ5年目、環境に慣れたこともある。「1年目は球場で緊張してホテルに戻ったら2人部屋ということもあって気疲れはありましたね。今はみんな1人部屋でいいですよね」と当時を振り返って笑う。このキャンプでもグラウンドに出れば佐々木朗希の一挙手一投足をメディアが追う。ファンも例年より多く訪れている。その中で笑顔を見せる。年下の選手たちとキャッチボールをしたり、アドバイスを送ったり、他愛もない話で笑う。宿舎に戻ると選手たちと卓球を楽しむこともある。心身ともに充実しているからこそ、余裕のある雰囲気が漂う。
今年はZOZOマリンスタジアムでシーズンが開幕する。3月29日からのファイターズとの3連戦。2019年以来となるシーズンホーム開幕は、佐々木朗希にとってはプロ入り初だ。
「いつもビジター開幕だった中で、初めて開幕をZOZOで迎えるので、雰囲気も含めてすごく楽しみ。しっかりとその開幕カードで投げられればいいなあ、と思っています。そこに向けて準備していきたいなと思います」
開幕3連戦を照準に…
このホーム3連戦で先発することを今年最初の目標に設定し歩を進めている。2月2日に今キャンプ初めてブルペンに入った。4日には2度目のブルペン。8日には3度目のブルペン。「感触はいい。指のかかりもいいと思う」と手ごたえ十分だ。
「そのときそのときの課題と向き合いながら投げるだけ。変化球に関しては実戦に入ってバッターの反応を見ないと正直分からない。その日その日によって違うこともあるので感覚を大切にしてやりたい」
クレバーな右腕は、淡々としかし明確に今後のプロセスを決めている。