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「気づいたら全然眠れなくなって」「誰にも言わずに病院に」駒大“最後の箱根を走れなかった”ある選手の告白…絶好調の高校時代→大学で起きたこと 

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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photograph byYuki Suenaga

posted2024/02/11 11:00

「気づいたら全然眠れなくなって」「誰にも言わずに病院に」駒大“最後の箱根を走れなかった”ある選手の告白…絶好調の高校時代→大学で起きたこと<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

この3月で駒大を卒業する白鳥哲汰。箱根路を2度走った実力派のランナーだが、大学4年間は決して順風満帆ではなかった

 2年連続で箱根駅伝を走ったが、2年目も7区で区間10位と満足のいく結果ではなかった。

 夏に右足を疲労骨折し、しっかりと距離を積めなかった影響もあったのだろう。箱根後の徳之島合宿で、白鳥はまた同じ箇所を痛めてしまう。振り返ればこのケガが、大きなつまずきの要因となった。

 他の同級生が頭角を現す中、3年生になった白鳥は徐々に存在感を失っていく。2度目の疲労骨折を発端にした不調は、そこから1年近くに及んだ。

「気づいたら……眠れなくなっていた」

「最初は疲労かなと思っていたんですけど、大きな病院でレントゲンを撮ってもらったらやっぱり折れてて、かなり長期で離脱したんです。練習に復帰してからもボロボロで、精神的にもまいってしまって。気づいたら……眠れなくなっていました」

 気分的な浮き沈みが激しくなり、練習への意欲も湧いてこない。そんな自分が許せずに、精神的に追い込んでしまう。完全な悪循環だった。

 外傷と違い、心の不調は本人以外にはわかりにくい。

 伝わりにくいからこそ、周囲に打ち明けることなく自身で抱え込んでしまったのだろう。

「精神的な理由で『練習できません』っていうのは自分でも言いたくなくて。だから、誰にも言わずに病院へ行って、先生にも『(チームには)言わないで』と頼んでいました。それこそずっと足を引っ張ってきて、これ以上足手まといになりたくないという思いがあったので」

 仲の良い部員にも苦しみは打ち明けず、思うように走れない日々が続いた。白鳥は一度実家に帰り、両親にこんな思いを伝えている。

「(部を)辞めたいじゃないですけど、走ってもこんな中途半端な状態なら、陸上をこれ以上続ける意味はあるのかなって。そんなことばかり四六時中考えていて。でも、両親に打ち明けたことで少し気持ちがラクになりました」

 心の問題はふとしたことが切っ掛けで良くなることがある。これを機に徐々に体調が戻り始め、3年目が終わろうとする昨年3月には本格的に練習復帰を果たした。

【次ページ】 捲土重来を期した4年目の駅伝シーズン

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