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ワリエワのドーピング騒動、処分決定後も残る“多くの謎”「なぜ個人順位とポイントは繰り上がらない?」猛反発のロシアは今後も異議申し立てか
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2024/02/06 11:01
4年間の資格停止処分が決まったロシアのカミラ・ワリエワ
反発し続けるロシア側の態度
だがロシアからは、CASのワリエワへの処分、ISUの団体戦メダルの決定に関して感謝どころか不服の声しか聞こえてこない。
CASの裁定には30日以内に限定的な条件で意義申し立てができるが、すでにプーチンの右腕であるペスコフ大統領報道官まで乗り出して、異議申し立ての意向を宣言している。この異議申し立ての対応にどのくらい時間がかかるのかは、今のところ未定である。だが陽性判定が最終判断である以上、CASの決定を覆すことは難しいだろう。
ロシアはいくら反発しても、今後オリンピックを含めた国際大会に参加する意思があるのなら、CASの処分には従わざるを得ないのだ。
処分が決まっても…数多く残された謎
このワリエワの処分に関しては、まだ多くの謎が残されている。ワリエワは違法薬物は、祖父の心臓の薬が共用したコップから誤って入ったためと主張したが、実際はどうなのか。事情聴取ではどのような話が出たのか。
本人が未成年だったのなら、周辺のコーチチームなどの責任は問われないのか。ソチオリンピック後、ロシアの国家主導のドーピング違反が問題となってきたが、IOCはこれまで以上に厳しい対応をする気があるのだろうか。
ワリエワの出場停止が解けるのは、2026年ミラノオリンピックの直前となるが、彼女はそれまでトレーニングを続ける意思があるのか。
フィギュアスケートの国際大会にロシアはいつ戻ってくるのか。その時に周りの選手たちはどう反応するのか。
唯一の救いは、団体戦のアメリカの金メダル、日本の銀メダルは最終決定で3位がどの国になろうとも影響を受けないということだ。授与についての詳細はこれからとなるが、2年も待たされた選手たちが1日も早くメダルを手にすることを願っている。