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《独占激白》遠藤航が語るリバプールに移籍できた理由…「実力がある」「実力をつける」を繰り返して<日本代表主将> 

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小野晋太郎

小野晋太郎Shintaro Ono

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photograph byGetty Images

posted2024/01/31 11:00

《独占激白》遠藤航が語るリバプールに移籍できた理由…「実力がある」「実力をつける」を繰り返して<日本代表主将><Number Web> photograph by Getty Images

日本代表の主将としてアジアカップを戦う遠藤航(30歳)

 セットプレーではハーランドにつく。自陣でのコーナーキック。空中で194cmの巨体を跳ね返すと、ファン・ダイクと軽くハイタッチを交わした。さらに手を叩いて仲間を鼓舞し、何食わぬ顔でプレーを続ける。日本ではハーランドに競り勝ったことがニュースになった。

「それはもう日常の一部というか、普通のことっすよ。ドイツにいた時にハーランドとは対戦しているし、プレーとしてもあそこだけ取り上げるのは……。あの場面で、ああいう場所で負けないってことは、ずっとやってきたことなので」

 試合は1-1のドロー。スタジアムにはマンチェスター出身のシチズン、オアシスの『Roll With It』が鳴り響く。勝ち点は分け合ったものの、「地球上のどこにいても見たい試合」とユルゲン・クロップが評した一戦で、遠藤は「普通に」戦力としてプレーした。

日本人選手の可能性を広げられましたよね

「お疲れっす! いま、どこにいます?」

 遠藤から電話が掛かってきた時、この試合が終わってから、1時間も経っていなかった。ピッチを出た後の遠藤の切り替えは、試合の攻守並に早い。Jリーグでも、五輪でも、W杯でも……どんなビッグマッチの後でも、こちらが拍子抜けするほど、いつもこの調子だ。かつては湘南で取材し、「洋麺屋五右衛門」でパスタを食べた。あれから10年の月日が経ち、環境と場所は大きく変わったが、遠藤だけが変わらない。ホテルで待ち合わせをし、マンチェスターの日本食レストランに向かう。

「試合後は飲みに行く選手も結構いるみたいですけどね。俺は普段は嫁と子供と食べたりとか。練習が終わったら子供の迎えにも行かないといけないんで、イングランドに来てからはもう全然(外食には)行かないです。まぁ、日本のときから友達少ないから、そもそも行かないですけど(笑)。

 それにしても、30歳でのプレミア初挑戦にビッグクラブとの4年契約は……インパクトありますよね。客観的に見ても、多くの日本人選手の可能性を広げることはできましたよね」

ずっと聞かれるのが「なんでリバプール入れたの?」

 試合以外では自分の事象を、いつも他人事のように話す。環境が変わり続ける中でも、自分にとっての普通は全く変わることがない。食事の場ではスマートに席とメニューをコーディネート。注文もてきぱきと決めていく。彼にとっては、高級店に浮足立っているフワフワした観光客に任せるより、全て自分で決めるのがこの場での「最適解」なのだ。

【次ページ】 30歳で受け取った、名将からのラブレター

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