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昼食はカレー、蕎麦からの焼きそば…それでも体重が増えない大物ドラ1右腕、カープ斉藤優汰の類まれなる「食い力」
posted2024/01/29 06:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
JIJI PRESS
1月中旬、ダウンジャケットを着た報道陣の前で、大柄の青年は半袖姿で取材を受けていた。2022年のドラフト1位で広島に入団した斉藤優汰は、体が冷えることを心配する記者に「全然です。だって、7度あるんですよ。7度あったら暖かいですよ」とニコニコ笑顔を振りまいていた。
取材後も実家に帰省した際の積雪の写真を見せながら談笑を続けた、あどけなさの残る19歳の道産子は、2月1日から始まる広島春季キャンプの注目選手の1人だ。
「もちろん一軍でシーズンを迎えられたら一番いいとは思っていますし、そこを目標にしています。でも、まだやらないといけないことが、技術面にしてもいっぱいある。まずはそこを一つひとつ潰しながら、ある程度自分が持っていきたいレベルに持っていければと思っています。でも、楽しみです」
25日に発表された春季キャンプメンバーで、オリックスから人的補償で加入した日高暖己とともに最年少で一軍組に抜擢され、またもニコリと笑った。
歴代エースに学ぶ大器
22年ドラフト会議の1週間前に指名が公表されて入団した期待大の右腕は、球団の育成プランに沿って1年目を過ごした。昨季前半戦は1カ月に1度の実戦登板。8月以降は頻度を増やし、8月24日ウエスタン・リーグのソフトバンク戦から2試合に先発した。1年目の成績は登板5試合で0勝1敗、防御率4.02。ほかの投手成績を含め、目を引く数字を残せたわけではないが、球団が望む成長曲線には乗っている。
シーズン中から黒田博樹球団アドバイザーに助言を受けながら、投手としての基盤づくりに費やしてきた。成長段階のひとつとして、一軍の最終戦で登板させるプランもあったというが、チーム状況によってデビューは持ち越しとなった。
フェニックス・リーグを経て日南秋季キャンプにも参加。フィールディングなどの細かい技術にはまだ課題もあるが、指にかかったときの球の力や切れ、さらに課題と思われていた変化球もスライダーの切れ味が鋭く、大きな可能性を感じさせた。