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「テラジの健康が心配だ」パンチをもらいすぎた寺地拳四朗に英国人記者が忠告「統一戦よりフライ級に昇級して」防衛成功も評価は“D”
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2024/01/26 17:01
判定の末、防衛に成功した寺地拳四朗(32歳)。顔の傷が激闘を物語っている
寺地のパフォーマンスをA〜Eで採点するなら、Dをつけます。私はもともと寺地の大ファンであり、パウンド・フォー・パウンドでもトップ10にランクインする寸前だと見ていました。カニサレスを早いラウンドで下すようなことがあれば、PFPのランキング入りを強硬に主張していたかもしれません。ただ、最新の試合の出来が優れなかったのであれば、もうそれはできません。
世界戦で通算14勝1敗というのは見事だとしても、今回の寺地の出来はタイトルを失った矢吹正道(LUSH緑)戦以来、最もよくなかったと思います。こうして厳しい言葉を投げかけているのは、もともと私が寺地を非常に高く評価していたからだということは理解してもらいたいですね。
ライトフライ級での時間は終了?
寺地も32歳になり、ライトフライ級で戦うべき時間は終わったのかもしれないと私は推測しています。すでにキャリア10年目を迎え、その間を通じてライトフライ級で戦ってきました。身体が大きくなり、減量も厳しくなり、動きがシャープさを失ったとしても仕方ないのでしょう。カニサレス戦では反射神経を駆使するのではなく、単にガードを上げてパンチを受け止めようとする姿が目立ちました。
そういう状態なのであれば、力が劣るはずの相手に不覚をとる前に、フライ級への昇級を勧めます。“寺地は衰えている”といったように決めつけるのは少々早すぎであり、階級を上げることで好調を取り戻すことは考えられると思います。
今後を考えると、ライトフライ級の統一路線を進んだとして、私はWBO王者ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)と対戦すれば常に寺地が優位だと思ってきました。一方、IBF王者アドリアン・クリエル(メキシコ)は来月、前王者シベナティ・ノンティンガ(南ア)との再戦が待ち受けており、統一戦云々はその結果次第になるのでしょう。クリエルも寺地のレベルの選手には見えず、依然としてゴンサレス、クリエルのどちらと統一戦を行ったとしても寺地が優位と予想するとは思います。
ただ、ディフェンスが甘くなった寺地に対し、クリエルがノンティンガをKOしたときのようなパンチを打ち込んだらどうなるのか。減量に苦しむ寺地がピークの力を失っているのだとすれば、統一戦よりも昇級を優先すべきという私の考えは変わりません。