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「競技に支障が出ることはしない」がポリシー…陸上界の“オシャレ番長”だった和田麻希(37歳)が学生選手のメイク禁止に「一理ある」と思うワケ
posted2024/01/18 11:04
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph by
L)AFLO、R)Shigeki Yamamoto
日本選手権17年連続出場、13回の入賞を果たすなど、女子短距離界のスター選手だった和田麻希さん(37歳)。長く競技をけん引した実力とともに、その個性的な髪型やメイクにも注目が寄せられ、トラックを華やかに駆け抜けてきた。
陸上界に大きな存在感を残した彼女に、アスリートならではの“オシャレのポリシー”や、着飾ることがキャリアに与えた影響について聞いた。〈全3回の第2回/第3回に続く〉
毎年6月に行われる日本選手権、決勝のレーンに立つ和田麻希は一際異彩を放っていた。血管が浮き上がるほど絞られた肉体に、奇抜なヘアスタイルやメイク。地面につけた手の先には、ミズノのテーマカラーに彩られたネイルが光る。
「見た目に手を抜くのが不安になってきて(笑)」
和田は日本選手権への連続出場回数を重ねるとともに、ヘアスタイルやメイクも年々、バージョンアップを遂げているように見えた。彼女にとっては、オシャレを全力で極めることが、レースに臨む上である種の“願掛け”になっていたという。
「社会人になってから自由にオシャレが楽しめるようになって、それでモチベーションも上がりました。キャリアの後半になると、見た目に手を抜くのが不安になってきて……(笑)。『去年あれだけ気合を入れていたのに、今年は適当にして結果もダメだったら嫌だなあ』と思うようになり、見た目からしっかり納得のいくスタイルで臨むようになりました」
大会ごとにヘアスタイルやネイルを変える和田は、陸上界の“オシャレ番長”ともいえる存在だった。彼女の個性を打ち出す姿勢に共感し、ファンになる人も多かっただろう。だが、彼女は着飾ることをただ楽しんでいたわけではなく、そこにはアスリートとしてのモットーがあったと明かす。