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「スケートで五輪を狙える身体能力」「成績もオール5」ぴょんぴょん跳ねる“元スーパーキッズ” 150cmのキャプテンが挑む最後の春高バレー
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byYuko Tanaka
posted2024/01/04 17:02
2年ぶりの春高バレー出場を決めた下北沢成徳でキャプテンを務める内澤明未(3年)。今大会は5日の2回戦から登場する
入学初年度からインターハイを制し、東京代表として春高に出場。それだけでも十分華々しい成績ではあるが、内澤に残ったのは“悔しさ”だった。
大型アタッカーの古川愛梨や谷島里咲といった豊富な攻撃陣を軸に優勝候補として臨んだ2年前の春高では、準決勝で古川学園に1-3で敗れた。当時は会場は無観客で、下北沢成徳はこの日の最終試合だった。試合終了の瞬間に泣き崩れる選手が多い中、小さな内澤はコートの隅でただ茫然と立ち尽くしていた。
「もっと強くなりたいです」
最後までテレビの取材に応じていた内澤がミックスゾーンにやってきたのは、試合終了から30分近くが過ぎたころ。試合を振り返りながら、ひとすじの涙をこぼした。
「何もできなくて。せっかく、やっとこの舞台に立てたのに、何もできなくて負けてしまった、と思ったら涙も出ませんでした」
接戦を振り返りながら「先輩に申し訳ない」「自分が拾えるボールがあった」と言葉を絞り出すたび、次々と涙がこぼれる。最後はしゃくりあげるように泣きながら「もっと強くなりたいです」と前を向き、また来年、と自分に誓うように言って去って行った。
だが、翌年は東京大会で敗れた。コーチ時代を含め48年間も同校を率いた小川・前監督の退任が決まっていた中で、全国大会に立つことすらできず終わる。前年とは違い、泣き崩れる内澤の姿があった。