「山川のところで勝ちに行きたかったんですが……」

　藤田監督は残念そうに、そう振り返った。

股関節の故障で5区から4区に変更

勝負手だった4区の山川　©Yuki Suenaga

　山川は、当初5区を予定していたが、全日本大学駅伝後に股関節を故障したため今回、強者が集まるレベルの高い5区では勝負できないと藤田監督は判断した。さいわい、金子伊吹（4年）の調子がいいことから山を任せられる。12月中旬には「4区を任せたい」と山川に伝え、本人も納得して4区出走を決めた。

「3区まで差がつかないことも考えて、その際は山川で勝負だと思っていました。でも、まったく動かなかったですし、設定タイムよりも1分30秒（62分32秒・区間6位）ほど悪かった。全日本後の股関節の故障で練習が足りなかったのが出てしまいました」

　まさかの誤算が、3つ生じた。

5区・金子は設定通り走ってくれた

　ただ駒澤大に、大きなミスが生じたわけではない。

　鈴木は、設定タイム通りに走り、3区の佐藤も60分13秒で区間2位だが、昨年の区間賞の中野翔太（中央大）の61分51秒よりも速い。山川は、区間6位に終わったが、今季これまでの出雲駅伝と全日本大学駅伝は、この3人のおかげで勝ってきたのだ。

　今回、往路優勝を果たせずとも、駒澤大の5名は、出せる力を十分に出した。従来の往路記録を更新するタイムだったのがその証左だ。

「最後、4区までの計算が狂ってしまったなか、5区の金子は設定通り走ってくれましたし、気持ちのこもった走りを見せてくれた。これは、チームとしての救いになりました。彼の走りがあったことで、明日、復路に必ず繋がっていきます」

　藤田監督は力を込めて、そう言った。

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