箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
往路2位、“最強”駒澤大に起きていた「3つの誤算」監督&選手が明かす「太田さん、強すぎ」「僕自身が誤算」「4区で勝ちに…」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2024/01/03 06:08
区間3位の力走も、青学大と2分38秒差の2位でゴールした駒澤大の5区・金子伊吹。連覇が確実視されていた最強校に一体、何が…?
「絶対に負けられない。気持ちでラストの坂を上るという覚悟でした」
鈴木は、必死に坂を上り切り、3区の佐藤圭汰(2年)に繋いだ。
だが、1区終了時にあった35秒差を22秒差まで縮められてしまった。66分20秒の区間記録は昨年の2区区間賞の吉居大和(中央大4年)の記録を超え、決して悪くなかったが、青学大の黒田のほうが速く、自らを「誤算」と語り、戸塚中継所で涙した。
ここが誤算の1つ目だった。
差を広げて山川(4区)に襷を渡したかった
3区は、佐藤が2区の分も含めて差を広げ、出雲、全日本同様にレースを終わりにするゲームチェンジャーの役割を果たす予定だった。最初は淡々とペースを刻んでいたが、13.9キロ地点で太田蒼生(青学大3年)に並ばれると、そこから抜きつ抜かれつの“ドッグファイト”が始まった。
「絶対に前に出さないという気持ちが強かったですし、差を広げて山川に襷を渡したかった」
しかし、太田は佐藤の背後にピタリついていた。そのしぶとさは、佐藤を動揺させた。
「競り合っていた時、最初は自分より遅くスタートして突っ込んで入って来たので、絶対に自分よりもきついだろうなって思っていたんです。でも、全然きつそうじゃないし、前にも何回も出られたので、これはちょっときついなぁと思いました。自分はペースを合わせられるのがあまり好きじゃないので、それもけっこう苦痛でした」
なんで、あんな強いんだろ。太田さん…
太田は、佐藤が嫌がる走りで心理戦でも優位に立ち、プレッシャーをかけ続けた。18.22キロから太田が前に出ると佐藤は、足が止まった。