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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「コウロキたちを励まし、今も浦和の一員だと」伝説のFWワシントンが現地観戦でボヤく“マンC圧勝劇”の無情「資金力が…極めて困難だ」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byKhalid Alhaj/MB Media/Getty Images,Takeo Momozono
posted2023/12/27 11:03
超過密日程の中でクラブW杯4位という成績を残した浦和レッズ。現地で観戦したレジェンドFWワシントンの目にはどう映ったのか
「その通りだね。フットボールでは、金があれば勝てるというわけじゃない。でも、勝つためにはある程度の金が必要なのも事実だ」
――日本代表は、2022年W杯カタール大会で健闘しました(注:グループステージでドイツ、スペインを倒して首位で突破。ラウンド16で強敵クロアチアに延長、PK戦の末に敗退)。今年もドイツ、ペルーに大勝するなど8勝1分1敗と好調で、FIFAの世界ランキングを17位まで上げています。一方、クラブレベルでは過去10年間にアジア・チャンピオンズリーグで3度優勝(浦和2回、鹿島1回)しているものの、クラブW杯では2位が1度、4位が2度、5位が1度。世界トップとの差がなかなか縮まりません。
「近年、代表が競争力を高めているのは、多くの日本選手が欧州へ渡り、貴重な経験を積んで成長し、それを代表へ持ち帰っているから。一方、クラブは有力選手が欧州のクラブへ移籍した穴を埋め切れないことが多いし、資金力不足のため能力の高い外国人選手を獲得するのも容易ではない」
資金力がなければ太刀打ちするのは極めて困難だ
――今後、日本のクラブが世界トップクラブとの差を縮めるにはどうすればいいのでしょうか?
「(2008年にUAEの投資グループが買収した)シティがその典型だが、欧州では外国資本が莫大な資金を注ぎ込んだクラブが優秀な選手と指導者を集め、チーム力を高めている。現実問題として、当面、日本のクラブに同じようなことが起きることは考えにくいが、資金力がなければ欧州ビッグクラブに太刀打ちするのは極めて困難だ。
彼らは優に2チーム分の戦力を備えているから、今回のような無茶苦茶な日程でも難なく乗り越えてしまう。日本のクラブも、アカデミーでの選手育成にさらに力を注ぐ一方で、色々な方策を用いて資金力を高めなければならないだろうね」
◇ ◇ ◇
世界とJリーグを知るワシントンは、真摯な声で日本サッカーの発展を祈っていた。個人レベルでは差が詰まっている一方で、クラブレベルでは南米だけでなく、日本などアジアをはじめとした各大陸と欧州トップとの差が歴然としていることを指摘した。ではその中で、Jリーグはどのように“世界戦略”を練るべきなのだろうか。
<第2回に続く>