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甲子園の風BACK NUMBER
兵庫で県立進学校野球部が優勝候補と“2年連続大接戦”のナゼ…ブラジル帰りの監督が危惧する「野球の未来」《掛け声は「バモス!」》
posted2023/12/05 06:01
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by
Fumi Sawai
今夏の甲子園でベスト8に進出したおかやま山陽高校の堤尚彦監督もJICAの制度を利用し、アフリカのジンバブエやガーナで野球指導を行い、途上国支援、野球の普及活動に尽力していることが大きく報道された。今泉友秀監督も、同じ気持ちを持っている。
日本で野球人口が減っている現状を見て…
「野球は世界的に見ればマイナースポーツ。日本で野球人口が減っている現状を見て、どうしたらいいのか常日頃考えていました。このままだと野球をやる人が減って、ただ”見るスポーツ“になってしまうのではないかと。ブラジルでは日系人を中心に野球をやっていますが、それ以外の人にも広めたいと。そうやって野球人口を増やすのも目的でした」
ブラジルはアメリカが近いためメジャー志向が強く、実はいくつかの野球のクラブチームも稼働している。素質が抜きん出た選手は16歳でマイナー契約するケースもあり、大金が動くことも稀にあるという。
クラブチームはチームによっては資金力があり、資金のあるチームは良い選手を獲得できる。だが、そういう風潮が続くとお金があるチームだけが強くなってしまうという懸念が、今泉にはずっとあった。
「そんなチームは一部だけだから、16チームほどあっても5チームくらいしか勝てなくなる。そうなると格差が出て、他のチームは面白くなくなってやらなくなる選手も増えてしまうんです。日本でも府県によってはそういった格差が出ているところもあるでしょう。
実力格差が出るとケガなどの危険も伴いますし、うまい子だけしかやらなくなるという危機感はあります。このままだったら10年後に野球人口はもっと減っているでしょうね。道具も高くなっていますし、気軽には始められなくなると思いました」