演技後、宇野がスコアシートを見ると、なんと4回転4本とも「q」マークがついていた。ジャッジによるGOEは「0」がほとんど。ジャンプで加点を得られなかったことが、点が伸びなかった原因だった。

　ルールとしては、「q」がコールされた場合、ジャッジは自身がつけたGOEから「−2」減点すると決められている。例えば4回転ループは「0」と「＋1」の採点だったが、これはもともと「＋2」や「＋3」と評価していたということ。「4回転トウループ＋3回転トウループ」で「＋2」を押したジャッジは、もともとは「＋4」と感じていたことになる。それだけ、見た目には美しいジャンプだった。

「僕は結構良いジャンプだと思っていたんですが」

　4回転4本を着氷し、すべて「q」マーク。それは、演技を終えたばかりの選手にとっては、そう簡単に受け入れられる評価ではない。直後のインタビューでは、思わず本音が出た。

「僕は結構良いジャンプだと思っていたんですが。（記者からの見た目は）どうでした？　結構点数が伸びるかなと思っていたので……。跳んだ4回転全部が不足とされたのは、これを改善するのは、僕には無理だな……」

　しかし、ルール批判だと受け止められることを避けようと、必死に冷静になりながら、言葉を続けた。

「今回別に採点がどうとか、基準がどうとか、僕が回転不足とられることに納得行かないということではないんです。僕よりきっちり回ってる子がいるので。ただ僕は、今以上のジャンプに改善する余地を持っていないので……。僕の限界を感じた試合でした」

優勝した鍵山優真（右）とともに日の丸を背にする2位の宇野　©︎Asami Enomoto

　直後に滑った鍵山が、フリーは182.88点、総合288.39点で優勝を決め、宇野は銀メダルとなった。すると、鍵山への敬意をこめて、順位に不満があるわけではないことを強調した。

「今日も昨日も、優真くんの演技が素晴らしかったので、僕が何か言うことで水を差したくないです。たくさんの困難を乗り越えて素晴らしい演技をして、優勝した彼にたくさんの称賛を送ってほしいです」

宇野が一夜明けで語ったこと

　そして宇野は改めて、判定について問いかけた。

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