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大阪桐蔭にビックリ出現“189cmのスーパー1年生”「2年後のドラフト目玉」「異次元のスケール」森陽樹とは何者か? 生で見た衝撃
text by
柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byNumber Web
posted2023/11/02 11:01
「2年後のドラフト目玉」大阪桐蔭の森陽樹とは何者か?(写真は大阪桐蔭の練習場/2022年冬撮影)
当時、森には20校近くの野球強豪校から声がかかったというが、彼が聡明中の選手でなければさらに増えただろう。というのも、聖心ウルスラ学園への内部進学が基本路線と思われていたからだ。
「小学校1年生で野球を始めた頃からプロ野球選手を夢見ていて、大阪桐蔭の試合もテレビで欠かさず観ていて憧れがありました。全国大会が終わったあと、西谷先生に声をかけていただいた。迷わず、桐蔭で野球をやろうと思いました」
メンバー唯一の「中学は軟式野球」
大阪桐蔭に入学する選手のほとんどが、中学2年生の秋から冬にかけての時期には決まっている。中3夏を迎える頃には、寮の部屋の関係上1学年約20人という枠は埋まっていることが多い。森の勧誘をここまで“待った”理由を西谷監督はこう話す。
「森は高校の付属中学に在籍している軟式の選手だったので、ボーイズリーグの選手のように早くからチーム関係者と話すことができないんです。中学の軟式野球が終わった時点で、(聡明中の)先生に『もし外に出る気持ちがあるならば本人と話をさせてもらいたい』とお願いした。すると『いくつかの学校に絞って検討している』ということだったので、見に行きました」
そして森は大阪桐蔭への進学を決意した。
陰ながら心配していたのは硬式球への対応だ。大阪桐蔭の1年生は、森以外、全員が硬式野球の出身者。森は中学野球を終えた一時期、宮崎の硬式野球チームで練習していたとはいえ、どうしても同級生から出遅れてしまうのではないか、と。それも、杞憂に終わる。
今年6月1日にバンテリンドームで行われた招待試合の栄徳(愛知)戦で、森がマウンドに上がった。この日が初めてAチーム(いわゆる一軍)のメンバーに加わった日だった。森が再び話す。