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野村克也でも星野仙一でもなく「岡田彰布がNo.1監督」阪神で25年“チーム事情を知る男”が語る「なぜ天才的な采配ができるのか?」
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byNaoya Sanuki
posted2023/11/03 11:00
野村克也も星野仙一も、岡田彰布には敵わない――阪神で25年間スコアラーを務めた男が明かす、その真意とは
「自分のことしか頭にないようなバッティングをすると怒る。それが誰であろうと関係ない。報道陣に話せば、佐藤だけじゃなくて、選手全員が自然とチームプレーを心掛けるようになるでしょ。それに『内野ゴロを打てばいい』ってシンプルで難しくない指示だから、誰でもできる」
怒りも現実論に立脚している。9月29日のDeNA戦後には、絶不調のルーキー・森下翔太について〈「ストライクは1球も振らず、振ったらみんなボール。そんなんもうお前、お客さんに見せられへんよ。はっきり言うて。あんな姿〉(サンスポ/9月29日配信)と叱咤した。
「『ボールを振ったらヒットが出ない』と常識で怒るわけや。感情じゃなくて、理論として当たり前のことを言ってるから、選手も納得できるんでしょうな」
「良い者は使うし、悪い者は外す」
『はっきり言うて』という口癖があるように岡田監督は選手、コーチ、報道陣、そして先輩にも遠慮せずに物申す。この点も、“ナンバーワン監督”と考える理由の1つだという。
「岡田は良い者は使うし、悪い者は外す。手抜きする者は許さない。そこに情は全くない。依怙贔屓せんからね。佐藤輝明を二軍に落とすなんて、去年までなら考えられなかったでしょ。野村さんは息子のカツノリには甘かった(笑)。岡田は大先輩にもはっきり言うんよ。数年前、西宮で小山正明さんと3人で酒を飲んだ時もそうだったわ」
プロ野球歴代3位の320勝投手である小山が「ピッチャーの理想は先発完投や」と主張すると、岡田は「ピッチャーは(ベンチに)たくさん入っとんですわ。金を稼がすためには中継ぎにも仕事をさせなきゃいかんのです」と反論した。