終局直後のインタビューを終えると、両対局者は大盤解説の会場へと向かった。後に聞くところ、大盤解説会場に到着直前、「おめでとうございます！」「おつかれさまでした……」と両者に声を掛けるファンの中には涙を浮かべている人もいたそうだ。

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　大盤解説の会場では、人気棋士の1人である糸谷哲郎八段らが質問し、それに2人が答える形だった。印象的だったのは、八冠全制覇となった直後の藤井竜王・名人への拍手と同等かそれ以上に、永瀬王座への拍手が大きかったこと。その後の記者会見で藤井竜王・名人は「今回のシリーズはどれも難しい将棋だったと思うのですが、特に第3局と本局はどちらも終盤でハッキリ負けという局面がありましたので、本当に逆のスコアでもまったくおかしくなかったと思います」と語っていたが……“最後の砦”として全身全霊で戦った永瀬王座の奮闘に、心打たれたファンの多さを感じた瞬間でもあった。

マスクをつけたまま、大盤解説の会場に姿を見せた永瀬　©Keiji Ishikawa

対局場は「22度」

　再び2人は対局場に戻り、感想戦に。ここから主催者以外のフォトグラファーの撮影も始まる。藤井竜王・名人が笑顔を浮かべる場面もあった空間は、そこはかとなく熱気が漂っていた。ふと近くにある冷房の設定を見ると「22度」。普通ならひんやりとしているはずの温度だが、その場にいる人間が発する熱のエネルギーを感じた。

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　藤井竜王・名人の記者会見は終局から1時間半後の22時40分から始まった。

　全冠制覇達成は羽生善治九段以来であることについて問われると「全冠制覇という点では羽生先生の記録と並ぶことはできたといえるかとは思うのですが、羽生先生の場合はそのあともずっとトップのプレーヤーとして活躍しておられるので、自身もそういった今後も息長く活躍できることをひとつ目指してやっていけたらと思います」。その一方で、思わず笑みをこぼしたのはこのような質問だった。

将棋の面白さとは？　その答えは…

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「藤井八冠は“面白い将棋を指したい”とのお話がありましたけれども、将棋の面白さとは、どんなところにあるとお考えでしょうか？」

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