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中日“ほぼ決まっていた”中村剛也ドラフト1巡目指名…星野仙一は賛成もなぜ消えた? 割れた意見「俺はよう使わんよ」「自分の言い方も悪かった」
posted2023/10/21 11:03
text by
中田宗男Muneo Nakata
photograph by
JIJI PRESS
星野さんの第二次政権最後の年。ドラフト会議には星野さんの後を継いだ山田さん(編注:山田久志氏)が出席したが、シーズン中は星野さんとドラフトの相談をしていたので、この年も星野さんのドラフトとして振り返ることにする。
「じゃあ、中村を第一に考えておけ」
春先から星野さんとはこんなことを話していた。
「なんぼピッチャーだ、ドームだと言っても、大きいのを打てる選手がいなくなったよなぁ。今年あたりでホームランを打てるバッターを1人獲らないといけないな。誰かおるか?」
うってつけの選手が直ぐに頭に浮かんだ。
「面白い選手がいますよ。ちょっとポッチャリしてますけど遠くに飛ばすことに関しては、この選手が一番良いと思います」
その選手の名前は大阪桐蔭高の中村剛也。後に西武でホームラン王を六度獲得する“おかわりくん″だ。星野さんに映像を見せると「ずんぐりしとるけどえぇやないか」と気に入った。
「どうなんじゃ(獲れそうなのか)?」
「1巡目だったら確実に獲れると思います」
「じゃあ中村を第一に考えておけ」
こうして、この年のドラフトは、中村の獲得を第一に動くことになった。
状況が一変…星野仙一の退任
この年のチームは、投手陣の頑張りで序盤はAクラスに踏みとどまっていたものの、夏場以降に負けが込み、最終的には優勝したヤクルトとは15ゲーム差の5位。4年ぶりのBクラスに終わっていた。チーム防御率3・48はリーグ2位でまずまずの数字を残していたものの、打撃面では3割バッターがおらず、チーム打率はリーグ5位の.253。チーム最多の25本塁打を放った山﨑もベテランと呼ばれる年齢になっていた。星野さんが春先に言っていた「今年あたりでホームランを打てるバッターを1人獲らないといけないな」は急を要する形になっていた。