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「まさか涙を流してもらえているとは」宮原知子、1日限りの“現役復帰”でチームジャパン優勝! 坂本花織も「まばたきを忘れるくらい…」

posted2023/10/15 17:01

 
「まさか涙を流してもらえているとは」宮原知子、1日限りの“現役復帰”でチームジャパン優勝! 坂本花織も「まばたきを忘れるくらい…」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

ジャパンオープン、1日限りの“現役復帰”で見事な演技を披露した宮原知子

text by

野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

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Asami Enomoto

 演技を終えてリンクサイドに戻ると、万感のステファン・ランビエルとハグを交わした。演技中から涙目だった島田高志郎が、うるんだ瞳でジャケットを渡す。2年前にプロ転向した宮原知子が、1日限りの現役復帰。ジャパンオープン(10月7日、さいたまスーパーアリーナ)で「ロミオとジュリエット」を熱演した。

「結構、練習通りにできたかな(笑)。カラダづくりから始めて、ジャンプを戻す作業もあって、『ああ、スケートのトレーニングをするのが自分は好きなんだなあ』と改めて感じて、楽しめた期間でした」

 スケートのトレーニングが好きーー。彼女らしい真面目さとスケート愛が詰め込まれているひとことだった。

オンラインでの引退会見とサプライズ

 2022年3月26日、自らの誕生日にSNSを通じて、競技からの引退を報告。コロナ禍のなか、引退会見はオンラインで行われた。

「私自身はジャンプも表現もオールラウンダーのスケーターになりたいというのが大きな目標でしたが、理想が高すぎて自分を追い込みすぎたな、という時もありました。後輩の皆さんには、ただ楽しいだけでは駄目ですが、自分がスケートをしている楽しさとか、なぜスケートを続けているかとか、自分の気持ちを大切にしてほしいと思います」

 記者は一人もいない会議室でのひっそりとした引退報告。サプライズ登場で花束を渡した宇野昌磨はこうメッセージを送った。

「スケーター全員が、知子ちゃんならどんな事があっても絶対できると言い切れると思います。僕もその1人。これからも頑張って下さい」

 誰からも、その努力と忍耐力を認められてきたお姉さん。その存在を、宇野の言葉が伝えていた。

1日限りの“現役復帰”

 それから約1年半。宮原は、プロとして様々な表現を開花させてきた。日本人で初めて北米最高峰のツアー「スターズ・オン・アイス」のカナダ公演にレギュラー出演。カート・ブラウニング(57)やエルビス・ストイコ(51)、そしてパトリック・チャン(32)ら、カナダの歴代のトップ選手が集うショーだ。往年のスケーターの熟練した表現力を間近に体感する、貴重な時間。ツアーの合間に帰国するたびに、宮原の生き生きとした表情が、その充実ぶりを物語っていた。

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