濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「女優兼業に風当たりも…」退団から8年後の試合復帰、元スターダム・澄川菜摘の“大人の魅力”「リングは神聖な場所」《特別グラビア》
posted2023/10/14 11:03
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Takuya Sugiyama
現在アクトレスガールズのリングで活躍する澄川菜摘は、2012年にスターダムの3期生としてデビューした。当時のリングネームは翔月なつみ。同期の宝城カイリ(現・KAIRI)と組んでタッグチャンピオンにもなった。だがそれ以降、実に8年ものブランクがある。リングに復帰したのは、一昨年11月のことだった。
大阪出身で、専門学校を出て東京で美容師をしていた。だが「肌が弱くて、シャンプーとか薬剤で肌荒れどころか爪がめくれるくらいになってしまって」続けることができなかった。地元に帰った時に友人に誘われたのが演劇。本格的にやりたいと再度、東京に出てきた。
そこで出演したのがプロレスをモチーフとした舞台。後にアクトレスガールズを旗揚げする坂口敬二も関わっていた。出演した若手女優3人は、坂口の誘いもありスターダムの練習生になる。
「私の役はレスラーに憧れる高校生。試合のシーンもあって、スターダムのGMだった風香さんのコスチュームをお借りした縁もありました」
初めて見たスターダム「細くて綺麗な人がいっぱい…」
初めて見たプロレスもスターダム。現在はWWE女子王者の紫雷イオが入団した大会だった。
「怖いというイメージしかなかったので、プロレスの概念が変わりました。細くて綺麗な人がいっぱいいるんだって」
創設者のロッシー小川氏と風香GMは、新しくて華やかな女子プロレスを志向していた。団体のエースは“ゆずポン”ことグラビアアイドルの愛川ゆず季。同時に老舗・全日本女子プロレス出身の高橋奈苗(現・高橋奈七永)もいて、試合は本格的だった。
「練習はメチャクチャ厳しかったです。新人なので、先輩と同じメニューをこなすだけでも精一杯。私たち3期生は、まず奈苗さんが指導する練習を3時間やって、その後に風香さんの練習も3時間」
初期のスターダムには道場がなく、立ち技格闘技シュートボクシングの「シーザージム新小岩」で練習させてもらった。床に薄いマットを敷いた上で基礎体力、マット運動、それに受身。習う技は基本的なものばかりだった。
「リングがないのでコーナーから飛ぶような技は練習できないんです。関節技のスパーリングもやりましたね。私たちはひたすら基本を教わることができた。それがよかったんだと思います」