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内藤哲也の激辛評価「今のSANADAには荷が重い」…18年前、“新日本の入団テスト”で明暗を分けた2人は東京ドームで何を見せるのか

posted2023/10/14 17:00

 
内藤哲也の激辛評価「今のSANADAには荷が重い」…18年前、“新日本の入団テスト”で明暗を分けた2人は東京ドームで何を見せるのか<Number Web> photograph by Essei Hara

10月9日、両国国技館。4度目のIWGP世界ヘビー級王座の防衛に成功したSANADAは武藤敬司からベルトを受け取る

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原悦生

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Essei Hara

「泣きそうになったんですけど、我慢しました」

 2カ月ぶりにIWGP世界ヘビー級王座のベルトがSANADAの腰に戻ってきた。悪の限りを尽くしてきたEVILらハウス・オブ・トーチャー軍団を退けて4度目の王座防衛に成功したSANADAは、テレビ解説席に座っていた武藤敬司からベルトを渡され、感慨に浸った。

 SANADAはいわば「武藤チルドレン」だ。武藤が拾ってくれたからこそ、こうしてプロレスラーをやっていられるという思いがある。

今の新日本プロレスは「何でもあり」なのか

 新日本プロレスのリングの現状は混沌としている。SANADAがIWGP世界王者であるにもかかわらず、2カ月間もEVILにベルトを持ち去られたままという理不尽な状態が続いていた。ウィル・オスプレイのUS王座のように、「オレはイギリス人だから」という理由だけで別のベルトを作ってUK王者を名乗ることさえも容認しているかのように見える。何でもありが、今の新日本なのだろう。ファンはこの状況をどう受け止めているのだろうか。

 10月9日の両国国技館の観客数は5002人(主催者発表)で空席が目立った。逆にABEMAが「無料独占」を謳い文句に放送した同大会は128万視聴を記録したという。「無料ならネットでいいか。わざわざ両国まで入場料を払って行かなくていいか」という判断も当然生まれたのだろう。

「プロ野球は観客数が90%以上回復しているのに、プロレスはまだ65%。どこが違うの。野球は毎年毎年、お客さんに喜んでもらえるように企業努力をしている。スタジアムのインフラも整えて、選手がソフトを見せられる環境を作っている」

 10月10日に都内で行われた戦略発表会イベントに登壇した木谷高明オーナーは、大張高己社長とともに観客動員が伸び悩んでいる事実を語った。だが、ワールドの会員やPPV、YouTubeチャンネル、スポンサーが増えたことなどの経営テクニックで、売り上げは過去最高だった2019年決算時の54億円に迫る53億円まで回復したことをグラフで掲示した。今期(2024年6月決算)は最高額が期待できるという。

 売り上げはもちろん大事だろうが、会場は満員であってほしい。会場に行きたくなる魅力的なカードが提供されて、満足のいく好試合が見られればいいのだろうが、そう一筋縄にはいかない。

 黙っていてもお客さんが来てくれた時代は過ぎた、と言っていいだろう。

 例えばだが、来場した人に快適な観戦環境を作ることが必要だ。リングの照明ひとつにしても今回の国技館は普段より暗かった。暗すぎては眼が疲れるし、華やかさに欠ける。レスラーが戦っているリングに適切なライトが当たっていないのはいかがなものか。ただ、映像だけきれいに映ればいいというものではない。

【次ページ】 18年前、入門テストで明暗を分けたSANADAと内藤

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