濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「女優兼業に風当たりも…」退団から8年後の試合復帰、元スターダム・澄川菜摘の“大人の魅力”「リングは神聖な場所」《特別グラビア》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/10/14 11:03
元スターダム、現在はアクトレスガールズで活動している澄川菜摘
宝城カイリとタッグ王者に、写真集も発売
スターダム3期生は翔月なつみ、舞台で共演した宝城カイリ、安川惡斗に加えて現在HARUKAZEのリングネームで活動するはるか悠梨も。あずみ(現・AZM)も同期で、9歳でプロテストに合格している。後にアメリカ・WWEでも活躍するタッグパートナー、カイリとは寮でも相部屋だった。
「プロテストで1人だけ追試になったり不器用なところもありましたけど、何をすればいいのか凄く考えてましたね。自分の夢や、それを叶えるために何をするか細かく書き込んだノートを大事にしてました。見られる意識が強かったから、パフォーマンスの部分も含めてアメリカが合ってたんでしょうね」
翔月なつみ&宝城カイリがタッグ王者となったのは、2013年4月の両国国技館大会。愛川が引退したビッグマッチだ。そこでキャリア1年あまりの新人がベルトを巻く。快挙ではあったが、周りからの風当たりも強かった。
「私とカイリ、惡斗は演劇の活動も続けていたので、風当たりは最初からですよね。ド新人が二足の草鞋なんてどういうことだって。愛川さんもグラビアをやられてたんですけど、プロレスへの打ち込み方も凄かった。だから余計に“お前らに同じことができるのか”という感じで」
カイリと2人で写真集も発売。団体にはチャンスをもらったし、売り出してもらったとも思う。ただその分だけやっかみもあった。仕方ないことだったと澄川は振り返る。
「今思うと“プロレスをナメてる”と思われても仕方なかったのかもしれないです。もっと努力できたんじゃないかって。でもスターダムではいろんな経験ができたし、ベルトを巻いて責任感も出てきました。当時のファンの方が、今も試合を見にきてくれるのは嬉しいですね」
襲ったアクシデント、ケジメの“プロレスラー引退”
ベルトを巻いていよいよこれから、という翔月なつみをアクシデントが襲う。練習中に腰を痛めてしまったのだ。なんとかリングに復帰したが、会場から自力で帰れなかった。
「小川さんには休んでいいと言われたんですけど、ベルトを巻いていましたから……」
ケジメとしてベルト返上、そして退団という選択をした。2013年7月のことだ。しばらく演劇活動をしていたが、故郷の大阪に帰ることに。プロレスラーとしても引退を発表した。