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流血戦でコメント欄炎上も…史上最年少でスターダム・リーグ戦制覇、鈴季すず21歳の“飛び級”人生を支えた「カリスマの言葉」
posted2023/10/12 17:03
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Essei Hara
丸2カ月にわたるスターダム恒例のリーグ戦「5★STAR GP」を制したのは、鈴季すずだった。
出場選手20名の2ブロック制。主力選手たちが集中的にシングルマッチを行なう星の潰し合いだ。“真夏の最強女子決定戦”とも呼ばれる過酷な闘い。すずは2度目のエントリーで初優勝を果たした。史上最年少での優勝でもある。すずはリーグ戦開催中、9月30日の決勝大会が近づいた9月16日に21歳の誕生日を迎えたばかりだった。
「もう大人なんでね、誕生日プレゼントは自分で自分に贈りますよ。プレゼントは優勝、それしかない。今年は自信あるんです」
リーグ公式戦でワールド・オブ・スターダム王者の中野たむを下した日、すずはそう言っていた。デビューした団体アイスリボンでシングル王者になり、プロレスリングWAVEではリーグ戦優勝とシングル王座獲得。そして業界最大の女子団体であるスターダムでもリーグ戦の頂点に。これだけの栄冠を掴んで、まだ21歳だ。
男子選手とのデスマッチも経験
しかしすずは、これがスピード出世だとは思っていない。プロレス人生そのものが“飛び級”の連続で、それが自分のやりたいことだったからだ。すずは中学卒業とともに地元の宮崎を出てアイスリボンに入門、その年の大晦日に16歳でデビューした。キャリアは4年9カ月だから、もう“若手”という括りでもない。
一昨年末にアイスリボンを退団し、先輩でタッグパートナーの世羅りさらとともにフリーユニット「プロミネンス」を結成した。もともと、すずはデスマッチのファン。現代女子デスマッチの先駆者である世羅の試合を見て「女子でもデスマッチができるんだ」とアイスリボンに入った。プロミネンスではデスマッチ10番勝負を敢行。毎回、男子選手と大流血戦を展開してきた。
今年4月、プロミネンス初の後楽園ホール大会。すずは10番勝負最終戦で“デスマッチのカリスマ”葛西純と対戦。試合後にプロミネンス脱退を発表する。理由は「プロレス界の顔になるため」だった。
それ以降、すずは昨年から参戦してきたスターダムでの試合に専念。昨年はアイスリボン時代から姉のように慕ってきたジュリアとの“愛憎劇”を展開したが、春以降は一選手としての個性と実力が評価されるようになった。