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「人生で今が一番いいバスケができている」渡邊雄太(29歳)が“最高のタイミング”で巡り合ったビッグ3「これまでと違うNBA6年目の開幕」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byJIJI PRESS
posted2023/10/13 06:03
本日(10月13日)に29歳となった渡邊雄太。新天地フェニックス・サンズでどんな活躍を見せてくれるだろうか
「今まではプレシーズン(オープン戦)の1戦目に自分のピークをまず持ってこなければいけませんでした。そこでアピールできないと、次の試合にも繋がらないですし、その後の契約にも関わってきていました。今回、2年間の契約をもらったことで、ここにピークを持ってくる必要がないというのは精神的にこんなに楽なんだっていうのを6年目にして初めて感じています」
渡邊自身は感慨深げな表情でそう述べていたが、そんな待遇はすべて自分で勝ち取ったものである。それゆえに、ここまで辿り着いたプロセスには価値がある。ドラマチックな上昇過程は日本バスケの財産として語り継がれるはずである。
新天地サンズでの役割は?
もっとも、NBAでは初めて開幕時点で保証のある立場になったとはいえ、2023-24シーズンの戦いがより安定したものになると決まったわけではない。
上位進出が義務付けられたサンズの一員として、今季は超ハイレベルなウェスタン・カンファレンスで強敵との真っ向勝負を続けなければいけない。シューターとしての実績に加え、ネッツ時代の同僚でもあったデュラントから「本当に頭の良い選手。いつも正しい位置にいる」と絶賛されたことで渡邊の知名度は上がった。それは必然的に、相手チームからのマークがより厳しくなることも意味するのだろう。
そんな中でも、想定された貢献を続けられるかどうか。期待の大きなシューターとして、デュラント、ブッカー、ビール、控えの得点源であるエリック・ゴードンらが作ったスペースを確実に生かしていくことが求められる。そこで仕事を果たせなかった時、具体的には3P成功率が伸び悩んだ場合、比較的早い段階で立場が危うくなることも考えられる。強いチームに属しているがゆえの厳しさだが、聡明な渡邊はもちろん自身が置かれた状況も理解している。