スポーツ名言セレクションBACK NUMBER
《藤井聡太八冠》「息長く活躍できるように」と語る21歳に…羽生善治53歳「更なる高みを」、師匠・杉本昌隆54歳「全冠制覇もゴールでは」
posted2023/10/12 11:05
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Keiji Ishikawa
<名言1>
藤井聡太という才能によって板谷一門も照らされました。
(杉本昌隆/Number1010号 2020年9月3日発売)
◇解説◇
藤井聡太竜王・名人(王位・叡王・棋王・王将・棋聖も保持)が、八冠ロードを見事に、そして鮮やかに駆け抜けた。
2023年10月11日に京都・ウェスティン都ホテルで行なわれた王座戦第4局、先手の永瀬拓矢王座(31)の卓越した序盤の戦いぶりに対して藤井は一時、持ち時間で3時間差を付けられる場面があるなど苦しい戦いを強いられた。
すごく勉強になるシリーズだったと思います
しかし中盤のねじり合いで徐々に形勢と持ち時間を押し戻すと、1手1分以内で指す「両者1分将棋」の大激闘に。一度は追い詰められたものの122手目の「5五銀」以降に再び流れを引き戻す、デビュー時から見せてきた終盤の劇的逆転勝利で、前人未到となる「八冠」全制覇を成し遂げた。
「早い段階からかなり激しい展開になったのですが、少しずつ苦しい形勢になっていったかなと感じていました。その後、終盤も少しよくなったかなと思ったところもあったんですけれど、苦しくなってしまって、はっきり負けというところもあったかなと思います。永瀬王座の強さを感じる所が多かったので、すごく勉強になるシリーズだったと思います」
対局直後、大盤解説会に万雷の拍手を受けて姿を現した藤井はこのように語った。
全冠制覇も藤井八冠にとってはゴールではありません
そんな天才棋士を語るにあたって忘れてはいけないのは、師匠の杉本八段(54)、そして東海地方で脈々と続いてきた板谷四郎一門の存在だ。