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嘔吐、気絶寸前、脱水症状、熱中症…フェルスタッペン3連覇のカタールGPで地獄絵図が繰り広げられたわけ 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byGetty Images / Red Bull Content Pool

posted2023/10/13 11:00

嘔吐、気絶寸前、脱水症状、熱中症…フェルスタッペン3連覇のカタールGPで地獄絵図が繰り広げられたわけ<Number Web> photograph by Getty Images / Red Bull Content Pool

ポール・トゥ・ウィンの快勝にもかかわらず、レース後は疲労困憊の様子だったフェルスタッペン

 ジョージ・ラッセル(メルセデス)とランス・ストロール(アストンマーティン)は、「レース中に脱水症状に見舞われ、何度も気を失いかけていた」ことを明かし、シャルル・ルクレール(フェラーリ)は「最後の数周は危険な状況に陥る限界まで達したため、全力で走るのをやめなければならなかった」と振り返った。

 8位入賞を果たしたバルテリ・ボッタスは、マラソン大会にも出るほど体力に自信を持つドライバーとして知られている。そんなボッタスでも今回は疲労困憊していた。

「今日は湿度が本当に高くて、コクピットの中はまるでサウナだった。完走できたのは奇跡。おそらく、2、3日は水分補給を続けることになるだろう」

地獄を招いた様々な要因

 なぜ、今回のカタールGPがこれほどまでに過酷なレースになったのか。

 まず、考えられるのは、気象条件だ。カタールGPは暑さを考慮して、2021年にナイトレースとして初めて開催された。2年ぶりの開催となった今年はスケジュールの関係で2年前より1カ月以上も早い10月上旬となり、湿度が高かった。そのため、夜になっても気温が下がらず、スタート前の気温が32℃、湿度は73%もあった。最も暑いと言われるシンガポールGPでも今年は気温30℃、湿度71%。カタールGPはそれを上回る暑さとなった。

 さらに肉体的にも過酷な条件となっていた。カタールGPの舞台であるロサイル・インターナショナル・サーキットはコーナーが連続し、ドライバーがステアリングを休ませる暇がない。それに加え、ロサイル・サーキットは時速200kmを超える高速コーナーが多く、ドライバーは激しい横Gに耐えなければならなかった。

 もちろん、このようなサーキットはF1ではほかにもいくつかある。ところが、今年のカタールGPはある問題が発生していたために特殊なルールが設けられ、通常とは異なる特殊な環境でレースが行われていた。

【次ページ】 同じ轍を踏まないために

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