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嘔吐、気絶寸前、脱水症状、熱中症…フェルスタッペン3連覇のカタールGPで地獄絵図が繰り広げられたわけ
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images / Red Bull Content Pool
posted2023/10/13 11:00
ポール・トゥ・ウィンの快勝にもかかわらず、レース後は疲労困憊の様子だったフェルスタッペン
ある問題とは、高速コーナーに今年新たに設置された高さ50mmのピラミッド形状の縁石がタイヤにダメージを与え、最悪の場合、パンクする恐れがあるというものだった。これを受けて、国際自動車連盟(FIA)は該当場所の縁石を使用しないようにコース幅を変更するとともに、日曜日のレースでは1セットのタイヤで走行できる最大の周回数を18周に制限した。
これにより、ドライバーたちはタイヤを労わる必要がなくなり、スタートからフィニッシュまで、予選アタック並みに常に攻めた走りを強いられるという近年のF1ではあまり見られなくなったレース展開が繰り広げられた。
こうした特殊な条件もドライバーたちの体力を蝕み、熱中症や脱水症状に陥ったと考えられる。
同じ轍を踏まないために
フェルスタッペンは優勝後の会見で、ドライバーの気持ちを代弁する形で主催者にこう釘を刺した。
「今回、このような状況になったのはドライバーたちのトレーニングとは関係ない。苦しんだドライバーたちの中には僕よりも体力があるドライバーもいた。スポーツを行うコンディションとして、許される限界に達していたのは明らかだ」
レース後、FIAは今回の事態を調査するとともに、何らかの対策を講じることを約束した。
「FIAは、カタールGP中の極端な温度と湿度がドライバーの健康に影響を与えたことに懸念をもって留意する。エリートアスリートとは言え、健康や安全を危険にさらす可能性のある条件下でのレースを彼らに提供すべきではない。パリで開催される次回の医療委員会でなんらかの対策が議論される予定だ。FIA会長のリーダーシップの下、技術、安全および診療の各部門が緊密な連携を取りながら、このプロセスを促進させていく」
地獄の淵から生還したドライバーたちに拍手を贈りたい。