オグリとイナリワンによる息もつかせぬ叩き合い

　ゲートが開いた。剛腕・郷原洋行が激しく手綱をしごき、レジェンドテイオーが単騎で先頭に立った。好スタートを切ったウインドミルが4、5馬身離れた2番手。3番手の外目にメジロアルダン。オグリキャップはそこから3、4馬身後ろの6番手の外につけた。それを1馬身後ろからマークするように進むイナリワンは、口を割って折り合いを欠いている。

　オグリは大外に進路を取り、持ったままの手応えで3コーナーへと入って行く。そこからじわっと進出し、勝負所で内を回るメジロアルダンとの差を半馬身ほどまでに詰めていた。イナリワンの柴田は手綱を引いたまま動かず、オグリの2馬身ほど後ろで脚を溜めている。

　レジェンドテイオーが先頭をキープしたまま直線に向いた。

　2番手のウインドミルと、その外に併せたメジロアルダンがすぐ後ろで仕掛けのタイミングを計っている。

　大外を進むオグリの内に、馬1頭分の隙間ができた。ラスト400mを過ぎたところで、イナリワンがそのスペースに進路を取った。イナリワンとオグリが併せ馬の形で末脚を伸ばし、前との差を縮めて行く。

　ラスト200m手前でレジェンテイオーは一杯になり、ウインドミルが先頭に躍り出た。その外に併せたメジロアルダンの岡部は右の見せ鞭をしながら、外からイナリワンとオグリが並びかけてくるまで追い出しを待っている。

　ラスト100m。イナリワンとオグリが半馬身ほどまで差を詰めてきたところで、岡部は初めて右鞭を入れた。

　メジロアルダンがスパートし、外のイナリワン、オグリキャップと3頭の争いになるか、と思われたのは、ほんの一瞬だった。並ぶ間もなく、イナリワンとオグリがアルダンの前に出た。イナリワンの柴田が左鞭、オグリの南井が右鞭を豪快に振るう。イナリワンが頭ひとつ前に出たまま、外のオグリと馬体を併せて叩き合う。ゴールまであと5、6完歩となったところでも、イナリワンがオグリより頭差ほど前に出ていた。

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