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9年越しの現役復帰、4回転も…36歳・織田信成は“なぜ大歓声を浴びたのか?” 記者に見せたユーモア「ウザいおじさんでいきたい(笑)」
posted2023/10/03 17:30
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JIJI PRESS
終始、笑顔だった。晴れやかな笑顔だった。
10月1日、フィギュアスケートの近畿選手権男子フリーが行われ、織田信成が2位となった。
冒頭は4回転トウループ。「q」マーク(4分の1回転不足)がついたが着氷する。その後の6つのジャンプは、コンビネーションジャンプを含めた2度のトリプルアクセルをはじめすべて成功。スピンの1つがノーカウントとなったものの、堂々、フリーでトップに。前日のショートプログラム3位から1つ順位を上げ、試合を終えた。
「スピンとかで滑れない部分はありましたけど、ジャンプは確実に1つ1つ降りられました」
と笑顔で振り返る。
4回転トウループでは大きな歓声も起きた。
「トウをついたときに失敗するなという感じがあって、空中で絶対しめようと思って。降りれてほっとしました」
と、やはり笑顔で答えたが、その歓声こそ、織田の立ち位置を象徴していた。
2013年の引退から9年越しの復帰
2010年バンクーバー五輪に出場し7位入賞、グランプリファイナルでは4度表彰台に上がるなど日本男子を代表する1人として活躍した織田が引退したのは2013年12月のこと。以降、プロフィギュアスケーターとして活動する一方、テレビでの解説などでも存在感を放ってきた。
あっと驚かせたのは昨年のことだ。9月に現役復帰届を出すと、11月、大阪府の国体派遣選手選考会に出場。成年男子でトップとなり友野一希とともに青森での冬季国体代表に選出された。
今年1月の国体を9位で終えると織田は語った。
「来年も競技者としてやりたい思いが強いです。火がつきました」
全日本選手権出場を目標に掲げた。