オリンピックへの道BACK NUMBER
9年越しの現役復帰、4回転も…36歳・織田信成は“なぜ大歓声を浴びたのか?” 記者に見せたユーモア「ウザいおじさんでいきたい(笑)」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2023/10/03 17:30
2023年も現役選手として大会出場を続けている織田信成
ユーモラスだった取材時の裏側
そんな取り組みの日々をこう語る。
「その時間も楽しめていて、精神的に充実しています」
決して簡単ではなくても工夫しつつステップアップを志す。その根幹は次の言葉に集約される。
「生まれも育ちもフィギュアスケーターと思っているので」
取材では、ときにユーモラスに話し続けた。
「すごい気を遣ってくれているなと練習でも思います。僕は同じ土俵に上がっている限り、年齢も関係なくみんなライバルだと思っています。素晴らしい選手は今、日本にたくさんいますし、これからもいろんなトップ選手と戦っていくことになると思うので、しっかり存在感をアピールできるように、ちょっとウザいおじさんでいきたいなと思います(笑)」
「僕は昭和62年生まれで、昭和の生き残りなので。(大会に出ているのが)僕がシニアデビューしたときに生まれている子たちだったので、そんな歳か……と思いますけど。(3位に入った)片伊勢(武アミン)君から『大学生みたいですね』と言われたので、その言葉を胸に全日本まで走りたいなと思います」
フィギュアスケートの常識を覆すための試み
ユーモラスな部分を含んでも、言葉の端々に感じさせるのは、スケーターとして昇っていきたいという真摯な思いだ。
10月26日に開幕する西日本選手権で6位以内に入れば、実に10年ぶりの全日本選手権への切符を手にすることができる。でも、その奥底にはそれだけにとどまらない熱を感じさせる。
自分はどこまで行けるのか。フィギュアスケートのある意味常識を覆す試みでもある挑戦が続いていく。