ラグビーPRESSBACK NUMBER

「姫野のジャッカルは4年前と大きく違う」姫野和樹の“必殺技”はなぜ決まる? 野澤武史氏が明かす「成功の裏に“2人の男”の存在」 

text by

野澤武史

野澤武史Takeshi Nozawa

PROFILE

photograph byKiichi Matsumoto

posted2023/10/02 17:01

「姫野のジャッカルは4年前と大きく違う」姫野和樹の“必殺技”はなぜ決まる? 野澤武史氏が明かす「成功の裏に“2人の男”の存在」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

今大会、日本代表のキャプテンを務める姫野和樹。代名詞“ジャッカル”は健在だが、実は「4年前とは異なる」と野澤武史氏は解説する

姫野の“逸脱した”ジャッカルは、じつは元祖に近い?

 さて、「ジャッカル」という名称の由来は、このプレーを得意としていたオーストラリア代表のジョージ・スミスのニックネームから来ています。トップリーグ時代のサントリーにも所属し日本とも馴染みが深い選手ですが、彼も「ジャッカル」に挑むときは同じような動き方をしていました。ジャッカルに入るためにはラインディフェンスから「逸脱」してラインの裏に回るコースが最もジャッカルにありつける。つまり、姫野は「ジャッカル」を自分のものにするにつれ、“元祖”に近づいているわけですね。

分業制「ジャッカル」という潮流

 少しマニアックな話ですが、実はこういったスキルは地域によって特色があり、南半球ではタックラーの次のアシストタックラーが相手を倒してそのままジャッカルに行く、という型なのですが、北半球、特にアイルランドやフランスでは姫野のように3人目の“ジャッカラー”が奪いに行くという型に変わってきている。特に今シーズンのルール改正で、ハイタックルの反則が厳しくなったことにより、アシストタックラーが肩でハードに相手にヒットし、相手を素早く倒すことができなくなってきており「タックル」→「ダブルタックル」→「ジャッカル」を分業するという流れがより有効になってきているんです。

 プールステージ突破をかけた大一番となる次戦のアルゼンチンはボールを動かしていくチームであるからこそ、選手が孤立する瞬間も多い。スピードで抜きにきた瞬間、スコーンと倒せるような場面も出てくるでしょう。「ジャッカル」を決められるチャンスはこれまでの3試合より多くなるでしょう。偶然から必然へ、姫野の進化に注目して、うんちくを語れれば、あなたも今日から立派なジャッカルマニアです(笑)。

(構成:佐藤春佳)

野澤武史(のざわ・たけし)

 1979年4月24日、東京都生まれ。慶応大ラグビー部主将を務めた日本代表4キャップのフランカー。現在はユース育成に尽力。「スポーツを止めるな」代表理事。教科書で有名な山川出版社の社長でもある

#4に続く
アルゼンチン戦ドロップゴール、サプライズ選出&緊急出場もレメキ34歳はなぜ活躍できた?「ポジション変更が余裕を与えていた」

関連記事

BACK 1 2 3
姫野和樹
ピーター・ラブスカフニ
リーチ マイケル
ラグビーワールドカップ

ラグビーの前後の記事

ページトップ