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“ご意見番”武蔵丸の苦言「正直残念だった」貴景勝の変化に「“ここ一番”で逃げちゃダメ」…一方でホメた「大関横綱になれる」新星とは?
text by
武蔵川光偉Musashigawa Mitsuhide
photograph byJIJI PRESS
posted2023/09/27 17:03
大相撲秋場所、4場所ぶり4度目の優勝を果たした貴景勝(27歳)。カド番の大関が優勝するのは2016年の豪栄道以来、7年ぶり
千秋楽の霧島戦では、固まって緊張しているのがアリアリなんだもの。もうこれは心の問題だろうね。これだけ何度もチャンスが回って来ても、なかなか掴めない。あれだけの体を持っているのに「ここ一番」で固まっちゃうの。一回でも優勝できれば、流れが変わるはずなんだけどなぁ。相手に合わせてゆっくり攻めようとする相撲が体に沁みついちゃっているように思う。腰も悪いんだし、15日間も相撲を取るんだから、体のことも考えて、もっと短時間で勝負を決めるようにしなきゃ。一気に当たって押して攻める――もっと楽に勝てる相撲があるのに、なかなかできないんだね。どこか怖がっているんだよ。相手をじっくり見てる場合じゃないよ? 矛盾するようだけど、とにかく一番いいクスリは、一度でも優勝することなんだ。そうすれば今の流れから脱出できるはずだよ。
「大関横綱になれる」新星とは?
あとは、今場所で三役復帰を狙っていた朝乃山。9勝で終わってしまったけれど、立ち合いが甘いね。相撲が遅すぎるし、力で勝とうとせずに、もっと細かい相撲を取らないと。雑なんだよなぁ。新小結の錦木戦だけど、錦木はガバッと立ち合いで組み止めて、朝乃山に押されないような形になり、考えていった相撲だった。でも、朝乃山は足が揃って上体が反ってしまうことも多くて、そこから無理矢理に右を差そうとするんだよね。相撲にどこか「ムリヤリ感」があるの。大関復帰を目指すなら、もうちょっと考えた相撲を取らないとね。もったいないよ。
それと、新十両で注目を浴びた大の里。千秋楽で敗れて優勝は逃してしまった。馬力もまだまだこれからだけど、もうちょっと力のあるヒトたちと稽古を重ねていけば、すぐに上がってくるだろうね。大関横綱になれると見てるよ。
ほんと、今場所は最後まで面白い場所だったね。誰が優勝してもおかしくなかったし、勢いがあった場所だったと思うんだ。「マルちゃん賞」は、もちろん熱海富士。まだ21歳でしょ? 場所を引っ張ってくれてありがとな。来場所も面白い場所となるよう、期待してマスっ!
(構成=佐藤祥子)