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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
大谷翔平の異変にも球団は「心配いらない」「信じてくれ」の一点張り…“世界一の選手”とエンゼルスの関係は「対等とは思えない」
posted2023/09/23 17:04
text by
阿部太郎Taro Abe
photograph by
Getty Images
「大谷と球団のバランスは、いつの間にか釣り合わなくなっていた」――打者として打率.304、44本塁打、95打点。投手として防御率3.14、10勝5敗、167奪三振。MLBの歴史に残る大谷翔平の伝説的なシーズンは、右肘の負傷によって幕を閉じた。その過程で番記者が目にした、大谷とエンゼルスの“すれ違い”とは。「世界一の選手」と9年連続でプレーオフを逃した球団は、果たして対等なコミュニケーションをとれていたのか。激動のシーズンの裏側に迫った。(全2回の2回目/前編へ)
「翔平が一番体のことを分かっている」
今季のエンゼルスは、とにかく今オフにフリーエージェントとなる大谷翔平を残留させるために必死だった。
だが、再契約を勝ち取るという球団の一番の優先事項が、両者の関係にひずみを生んだように見える。
ペリー・ミナシアンGMも、フィル・ネビン監督も常に「翔平が一番体のことを分かっている」「体調管理の面で、一番心配のいらない選手だ」と言い続け、大谷の状態は本人任せにしていたように映った。
6月27日の登板以降は爪の影響からか、本調子とはほど遠い投球内容だった。
「リスクがあると思えば試合に出さない。信じてくれ」
7月27日。ダブルヘッダーでメジャー初完封と1試合2発をやってのけた「伝説の1日」では、脇腹付近のけいれんが起きた。
移動日なしでトロントに移動した7月28日には、両ふくらはぎのけいれんで途中交代した。その翌日、ネビン監督は「リスクが本当にあると思えば、試合に出さない。信じてくれ」と訴えたが、大谷本人の「出たい」という強い意志を常に尊重した。長い目で見て、「今日はやめておこう」という言葉はなかった。