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河村勇輝「フィンランド戦は最高のプレーができると」高校恩師に届いたLINE…五輪決定後の夜中に「日々成長です。きょう出た課題はまた明日に」
text by
古川明Akira Furukawa
photograph byFIBA
posted2023/09/13 11:03
バスケW杯で輝きを放った河村勇輝。恩師の目にはどう映ったか
河村は第4クオーターだけで4本の3ポイントを含む15ポイント。この試合25得点9アシストを達成した。
フィンランド戦の2日前、63―81と完敗した初戦のドイツ戦では、らしくないプレーが続いた。代わって入った直後に5秒バイオレーションをとられ、次のプレーではトラベリング。初の大舞台であり得ないミスが続き、結局7ポイント3アシストに終わっていた。翌日の昼間、井手口は河村にLINEを送った。
「どうだった? 緊張してたな」
するとすぐに返信がきたという。
「初めてで緊張しました。うまくいかなかったけど、場にも慣れてきましたので、フィンランド戦は最高のプレーができると思います」
井手口も河村の心のうちを理解していた。
「ドイツと戦って衝撃を受けたと思いますよ。(NBAプレーヤーの)シュルーダーとマッチアップして置き去りにされたり、これまで対戦したなかで一番強い相手だったと思う。Bリーグを含めてね。あんな選手たちが本気でやってくるわけだから。でもそれはそれとして、吸収していたんでしょうね。世界のトップを肌で感じたことで、フィンランド戦ではある程度、やれるっていう自信があったんでしょう」
そしてあのフィンランド戦の大活躍である。試合終了後、会場をあとにした井手口にすぐに河村から電話があった。
「会場にいますか? って。褒めてほしかったんでしょうね(笑)。出ちゃったよって言ったら、『そうですか。ありがとうございました。すぐに切り替えて次に備えます』って」
予想の2倍、3倍の速さで成長している
井手口は大会前、日本の躍進を期待しながらも、全敗もあり得ると思っていた。河村についても「どれくらい使ってもらえるかな。出たらシュートくらい決めろよ」くらいに思っていた。だからこそ今回のワールドカップでのプレーには驚いたという。