オリンピックへの道BACK NUMBER
写真集にDVD、異例の人気…「オグシオ」小椋久美子と潮田玲子は“バドミントン界をどう変えた”のか? 潮田「成績を残して胸を張りたいと…」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byShigeru Tanaka
posted2023/08/25 17:00
「オグシオ」の愛称で異例のブームを巻き起こした潮田玲子と小椋久美子(2006年撮影)
「いい意味では、モチベーションになりました。日本一でもないのに取材されたり注目されるのが申し訳ない気持ちというか、結果があるから注目されるんだと胸を張りたい、成績を事実として作りたいというのが2人のエネルギーになっていました」
また、こうも語っている。
「(写真集発売などは)のちに『バドミントンの人気につなげたかったから』と聞きました。協会の登録選手で三洋電機の社員という立場ですし、『明日何時から取材だから』と言われて、自分の意思はあまりなく、『分かりました』と取り組んでいた感じです」
「競技に集中しろ」注目と同時に、誹謗中傷も増えた
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近年、大きく取沙汰されるようになった誹謗中傷にもさらされていた。
「メディア対応、バラエティに出るとか競技外のこともあったじゃないですか。私たちにとっては海外遠征や合宿の合い間の短い時間、休日返上で受けているような感覚なんですけど、結果が出ないと『競技に集中せずテレビに出ているからだろう』『もっとコートだけに集中しろ』という声がありました。『セクシャルに撮られるのが嫌だ』と言ったら、『そういう恰好をしているのが悪いんだろう』とも」
それでも置かれた立場をモチベーションとしていかしつつ、バドミントンのために、取り組んだ。
小椋と潮田が活躍して以降、オリンピックをはじめとする国際大会で女子ダブルス、さらには他の種目でも好成績を残し、日本のバドミントンは確固とした地位を築いた。普及や認知度の側面、収入増という側面からも「オグシオ」の功績をあらためて感じる。2人が懸命に取り組んでいたことを思い起こせば、現在の協会も真摯に選手の強化や育成・普及に向き合うべきであるのは言をまたない。
パリ五輪前年の世界選手権で日本の代表選手たちはどのような成績を残すか。それもまた、今後につながっていく。