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写真集にDVD、異例の人気…「オグシオ」小椋久美子と潮田玲子は“バドミントン界をどう変えた”のか? 潮田「成績を残して胸を張りたいと…」
posted2023/08/25 17:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Shigeru Tanaka
「あの頃を超えたいですよね」
いつだったか、バドミントン関係者の言葉を耳にしたことがある。8月21日、バドミントンの世界選手権開幕とともにふいに思い起こすことになった。
あの頃――2008年にペアを解消するまでの数年間にわたり、バドミントン界で小椋久美子と潮田玲子、「オグシオ」が脚光を浴びていた時期だ。2人は日本のバドミントンでは前例のないほど大きな注目を集め続けた。とりわけ、銅メダルを獲得した2007年の世界選手権を軸とする2006年から2008年は、ブームと言えるほどの関心を集めた。その功績は、実は日本バドミントン界にとって大きなものだったのではないか――。
1万人が詰めかけ…異例の入場制限、相次ぐチケット完売
高校時代にペアを組んで大会に出ることもあった小椋と潮田が本格的にペアとしてスタートを切ったのは、2002年、三洋電機に入社してからのこと。2004年アテネ五輪出場はかなわなかったが同年の全日本総合選手権で初優勝するなど、頭角を現す。
その後、テレビ番組への出演、官公庁のポスターへの起用などにより一般の認知度や人気も高まっていった。
象徴的な出来事が2006年にあった。東京体育館で開催された世界国別対抗戦「ユーバー杯」の決勝トーナメントには1万人の観客が詰めかけ、入場制限がかけられる事態となったのだ。まさに異例の事態であった。この1大会にとどまらず、その後、日本リーグの試合では相次いでチケットが完売。2人への関心の高さを物語っていた。