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写真集にDVD、異例の人気…「オグシオ」小椋久美子と潮田玲子は“バドミントン界をどう変えた”のか? 潮田「成績を残して胸を張りたいと…」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byShigeru Tanaka
posted2023/08/25 17:00
「オグシオ」の愛称で異例のブームを巻き起こした潮田玲子と小椋久美子(2006年撮影)
写真集とDVDも発売された
2007年はさらに加速した1年となった。スポーツ飲料や自社である三洋電機のCMに出演。9月には日本バドミントン協会監修という形で写真集が発売され、DVDも発売となった。
成績でも第一人者であることを示した。その象徴が、銅メダルを獲得した2007年の世界選手権であった。
翌年に控えた北京五輪へ向けて、メダル候補としてさらに注目は高まっていた。その北京をベスト8で終えると同年、ペアを解消。「オグシオ」としてのキャリアに終止符を打った。また、北京後に発売された2枚目のDVDは女性スポーツ部門では歴代2位を記録している。
写真集の売り上げの一部はバドミントン協会へ
実は写真集発売、あるいは大会時のポスター起用などは協会の主導で行われた。バドミントンの人気を高め普及を図りたいという目的があり、確実にバドミントンへの関心を高めただろう。
例えば2007年の世界選手権前後には2人を取り上げる記事も多数に及んだ。WEBメディアの数は2007年当時よりも現在の方が多いため、数字的な比較は単純にできないが、それを差し引いても、「オグシオ」への関心は高かった。報道を通じて、世界選手権への注目度も上がったはずだ。
2人の貢献は、認知度という点にとどまらない。写真集の売り上げのうち、一定の割合は協会の収入とされており、協会の加盟者数も数万単位で増加したと言われている。加盟者は会費をおさめる必要があるから、それも収入増に結びついた。増収分は選手の海外派遣を増やすなどの強化に充てられ、レベル向上をもたらす要因となった。
潮田が明かした本音「成績を残して胸を張りたいと…」
一方で、渦中の本人はブームをどう感じていたか。のちに潮田はこう語っている。