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野ボール横丁BACK NUMBER
「居酒屋で絡まれて…」高校野球を離れた名将が語る“負けたら叩かれる”強豪監督の現実…ズバリ考える「甲子園は本当にいらないのか」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKei Nakamura
posted2023/08/27 11:01
かつて高知高校の監督として、同校を9度甲子園に導いた島田達二氏
島田 夏の高知大会の決勝で5年連続1点差で負けたんですよ。あんな記録、他の県でもないんじゃないですか。
居酒屋で…「負けたら絡まれる現実」
――2011年から2015年にかけてですよね。風当たりは相当、強かったのですか。
島田 もう、すごいっすよ。何してんねや、って。ヤジとかも。学校とか家にも電話やら手紙やら、いっぱい来ましたから。家の電話は基本的にとりませんけど。高知だと、居酒屋とかでも普通に言われますから。うちの教員にも「俺と一緒に飲みに行ったら絡まれるぞ」といつも言っていて。「そんなことないやろ」って一緒に行ったことがあったんですけど、やっぱり絡まれましたね。僕は慣れてるから相手にしないんですけど、同僚は「こいつがどんだけ一生懸命やってるか、わかってんのか!」って言い返してしまって。ちょっと喧嘩みたいになってしまったこともありました。
――四国野球は弱くなったと言われていますけど、それでも今も一定のレベルを維持できているのは明徳の、馬淵史郎監督の存在によるところが大きいんでしょうね。
島田 馬淵さんですよ。四国のチームは、どこも明徳を基準にしてやってるので、全国の舞台に立っても驚くことはないと思います。明徳はポッと出のチームではない。長い年月をかけて作られていますし、常に全国レベルでいてくれているので。もちろん全国へ行くと、打った投げたで驚くことはあるんですけど、戦術面とかは、やっぱり明徳がいちばんだなと思います。僕もいちばん参考にしていたチームですから。
相手の弱点をつく…明徳の野球
――具体的に言うと、どのあたりが違うんですか。