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「死んじゃうんだな」部活中の大ケガ…佐藤弘道55歳が“ドクターストップ”を宣告された高校時代「おかあさんといっしょにも役立ちました」 

text by

音部美穂

音部美穂Miho Otobe

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photograph byShiro Miyake

posted2023/08/25 11:02

「死んじゃうんだな」部活中の大ケガ…佐藤弘道55歳が“ドクターストップ”を宣告された高校時代「おかあさんといっしょにも役立ちました」<Number Web> photograph by Shiro Miyake

元・体操のお兄さんとして現在も体操指導などの活動を続ける佐藤弘道さん。「おかあさんといっしょ」初出演から、今年で30周年

――高校時代、もっともつらかったのは?

弘道さん 1年生のときに、吊り輪で宙返りを失敗し、落下して、それで頸椎を亜脱臼してしまって。落ちた瞬間、目の前からシューッて明かりが消えていく感覚がありました。「これ、真っ暗になったら死んじゃうんだな」って思って、消えていく光を一生懸命追いかけたんです。

 その後、意識が飛び、目の前に再び光が差し込んできたときには、全身が動かなくなっていました。意識が戻ったときは、ものすごい数の人に取り囲まれていて。体操部の先輩だけじゃなくて、なぜか野球部とかラグビー部の先輩まで集まっていたんですよ。「俺、どうなっちゃうんだろう。とにかく気をしっかり持たないと」と思った記憶がありますね。

「頸椎は今もワイヤーで固定しています」

――その後、救急車で病院に?

弘道さん それが……。本来なら頭から落ちているから動かしちゃダメなんですが、何とか起きあがれたんですよ。それで、先輩の自転車の後ろに乗せられて、近くの病院に行ったんです。今思うと、本当に無知でしたね。医師に「何やってるんだ、ダメじゃないか!」って怒られましたよ。

 そこは個人病院だったので「うちでは手に負えないから、大きな病院に行きなさい」と言われ、スポーツ選手のケガに詳しい医師がいる大きな病院に入院し、手術をしました。手術した部分の頸椎は、今もワイヤーで固定しています。

――その後も部活は辞めずに続けたのですか?

弘道さん はい。高校時代は最終的に、吊り輪で東京都6位に入りました。入院中、同じ病棟に日体大体操部の先輩がいたんですよ。その方は足を手術していたんですが、毎日リハビリ室で筋トレしていて。それで僕も一緒に筋トレを始めたら、背中と腕の筋力が猛烈にアップしたんです。

 同じ病室には、僕と同様に頸椎を損傷した大学生もいました。なんでもバイクで転倒したそうで、半身不随になってしまったと。一歩間違えば自分もその状態になっていてもおかしくなかったと改めて思いましたし、もっと大変な状況の人が目の前にいるんだから、つらいとか、痛いとか言っている場合じゃないなって。

【次ページ】 「もう1回落ちたら死ぬぞ」宣告されたドクターストップ

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