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大谷翔平の指揮官・ネビン監督(52歳)とは何者なのか? イチローからも「好きですね」と称賛される気さくなボス「毎日26人全員の選手と話す」
posted2023/08/12 11:02
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
AFLO
エンゼルスは8月1日のトレード・デッドラインで買い手に転じながら、皮肉にもそれ以降は7連敗を喫した。連敗地獄の長いトンネルから抜け出したのは8日のジャイアンツ戦。試合後、会見室に姿を見せたフィル・ネビン監督は席に座ると安堵した表情で大きくため息をついた。
「ふぅ~」
報道陣から沸き起こる笑い。ネビン監督も笑っていた。
監督たるもの、簡単に心のうちを見せるものではないという声もあるかもしれない。だが、こんな無邪気な様子にもこの監督の人間性が見え隠れする。フルネームは「フィル・ヨセフ・ネビン」52歳。大谷翔平の監督として、今や日本でも彼の名を知るファンは少なくないだろう。
全米ドラフト1位の「超エリート」
アナハイムのお隣、フラートン市出身のサザンカリフォルニア・ボーイ。経歴は超がつく野球エリート。高校時代にドジャースからドラフト3巡目、全体82番目で指名を受けたもののカリフォルニア州立大学フラートン校へと進学。92年に1巡目全体1位の最高評価を得てアストロズに入団した。ドラフト同期には1巡目6番目で指名されヤンキースに入団したデレク・ジーターがいる。
メジャーデビューは3年後の95年6月11日のレッズ戦。「5番・三塁」で出場し、第1打席に右前適時打を放ち華々しくメジャーデビューしたが、その後は振るわず。8月にはタイガースへとトレードされ、98年にはエンゼルスへと移籍したが、レギュラーは遠く、打率は2割前半に低迷。全米ドラフト1位の輝きを放つことが出来ずにいた。ネビンが当時を回顧した。
「学ぶこと、成熟する必要があったということだ。野球が自分の仕事であるにも関わらず、優先事項が何であるかを理解するのに時間がかかった。毎日プレーすることが好きだったけど、フィールド外でも好きなことがたくさんあった。毎日プレーすることの意味を理解するのに少し時間がかかったんだ」
若気の至り。素直に話す姿がそこにあった。