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「こんなに重いの持ったことない! できるかな~?」と言いながら…藤澤五月の“バキバキボディ”を作った女性トレーナーが明かす「オリンピアンのストイックさ」 

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音部美穂

音部美穂Miho Otobe

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photograph by左:FWJ提供/右:Yuki Suenaga

posted2023/08/10 11:03

「こんなに重いの持ったことない! できるかな~?」と言いながら…藤澤五月の“バキバキボディ”を作った女性トレーナーが明かす「オリンピアンのストイックさ」<Number Web> photograph by 左:FWJ提供/右:Yuki Suenaga

バキバキの筋肉が話題になったカーリングの藤澤五月選手(左)とトレーナーのマムシ〇口子(まむしまるくちこ)さん

――めちゃくちゃキツそうですね。「もうムリ!」と弱音を吐いてしまいそうです。

マムシ 普通の人はそうですよね。でも、藤澤さんはこちらがやりすぎだと思うくらい、ストイックに取り組んでいました。たとえばスクワットであれば、これまで60kgの負荷をかけて10回できていたので、そこから筋肉を肥大化させるためには、回数は減らしてもいいけれど重量を増やさなければならない。そこで「70kgや80kgで3~4回やってみましょう」と提案したんです。

 最初に持った時は「こんなに重いのは持ったことがない! できるかな~」などと言っていたんですが、藤澤さんは、そう言いながらもきっちり回数をこなすんですよ。終わった後も「キツかった~」といいながらも、すごくいい笑顔で、キツさを楽しんでいるように感じられました。

持久力も半端じゃなかった藤澤選手

――ジムでのトレーニング以外にはどんなことをやりましたか?

マムシ 藤澤さんが東京に来た時には、トレーニングの一環として一緒に高尾山に登りました。実は、登山は非常に有効なトレーニング方法なんですよ。というのも、山登りには、心拍の変化や、でこぼこ道を踏み込む足首の角度など、ランニングマシンで走るよりもさまざまな刺激が加わるので、いきいきとした筋肉に仕上がるんです。

 高尾山では20kmほど小走りで登っていきました。私は動画を撮りたかったので、藤澤さんに先に進んでもらったのですが、登山道の階段をいったん登ったところで一息つくのかなと思っていたら、延々と走っていっちゃって(笑)。それが速くて全然追いつけないんですよ。彼女の背中を追いかけ、気づいたら頂上近くまで登ってきていました。藤澤さんは、もともと月間100km走ることを自身に課してランニングマシンなどで走り込んでいたようなので、持久力も半端なかったですね。

――大会に向けて、食事制限はあるのでしょうか?

マムシ もちろんやります。難しいのが、「筋肉はモリモリだけど、脂肪はない」という状態にしなければならないこと。「食べない、動かない」だと体重は落ちるけれど、筋肉も衰えてしまう。そのため、トレーニングは必要だけど、カロリーは切り詰めなければならないので、疲労感が出やすくなるんです。

 私の場合、大会1カ月前からは、1日の摂取カロリー1000キロカロリー以下を目安にしていて、鶏むね肉、タラなど脂肪分が少ない魚の刺身や鍋料理、体質に合うグレープフルーツをローテーションにして食べることが多いですね。一時的にケトジェニックを行うこともあります。これは、糖質の摂取量を抑えることで、肝臓がエネルギー源として脂肪を分解し、ケトン体を作り出す機能を利用した体質づくりのこと。肉や魚などのたんぱく質をメインにして、炭水化物をほとんど摂らない時期を1週間ほどつくるんです。

 そうやって体を“飢餓状態”にした上で、大会2日前ぐらいから、今度は逆に炭水化物を摂取していく。そうすることで、筋肉にハリが出て、筋肉のラインがバシッと入って美しく見える。ただ、同時に塩と水もたくさんとってしまうとむくんでしまうので、注意しないといけない。そういったマニアックな調整をギリギリまで続けているんです。

【次ページ】 一番つらいのは……大会2週間前ごろ!

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