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“同級生・大谷翔平”はどんな存在だった? 花巻東チームメイトが明かす秘話「一人だけバットもボールも違うのを使っているんじゃないかと…」
text by
佐々木亨Toru Sasaki
photograph byNanae Suzuki
posted2023/08/06 17:00
エンゼルスでホームランキングを独走する大谷翔平。花巻東高時代のチームメイトにとって大谷とはどんな存在だったのか
「ずっと、ああいう風にやりたかったんだろうな。感情を爆発させて、勝つために必死に頑張って。最高に嬉しかったんだろうな」
岩手から日本一へ。
2010年4月。前年に菊池雄星を擁して甲子園で旋風を巻き起こした花巻東に、高い志を持った新入生たちが集った。
ピッチャーにはダルビッシュみたいな子が来る?
ただ、内野手の皆川清司は、入部直後からこの学年の中心選手が誰なのかを悟っていた。
「僕は中学で投手もしていたんですが、佐々木洋監督から『野手として評価している』と言われたんです。『ピッチャーにはダルビッシュみたいな子が来る』と聞いていて、そんな子がいるのかと思っていたら、本当に細くて背が高くて格好いい。それが翔平の第一印象でした」
一般入試で花巻東の門を叩いた千葉は、推薦組には負けたくないという思いで練習に食らいついていた。冬場の練習は投手と外野手が同じメニューになることが多く、千葉は大谷と長い時間を共に過ごした。
この時、千葉と大谷の間に「事件」が起こる。
「みんなでゴミ拾いをしていた時に、翔平と僕はペラペラとしゃべりながらやっていたんです。それが、互いに鼻についたんでしょうね。寮に帰ってから自分のことは棚に上げて『あれはないよ』って、言い合いになった。それから半年くらい、翔平とは口も利きませんでした。翔平と本気で喧嘩したことがあるのは、同級生で僕だけじゃないかな。今思えば、めちゃくちゃくだらない喧嘩ですけど」
1年時にクラスメイトだった千葉と大谷は、2年進級時のクラス替えでまたも同じ組になる。クラスには野球部員が二人だけだったこともあり、いつの間にか自然と話すようになった。衝突を経たことで、その繋がりはより深まった。
左投手の小原は「雄星さんみたいになりたい」と花巻東に入学し、大谷という大きな壁に挑み続けた。