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秋広優人20歳が大覚醒! 坂本勇人の離脱中に本塁打量産のホープが巨人・後半戦のカギを握る「ホームランにこだわりはないですね」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2023/07/24 11:05
7月に入って4戦連発を含む6本塁打を量産している巨人の秋広優人
68打数16安打の打率2割3分5厘。
坂本不在の間の前半終了までの秋広の成績だ。
アベレージ的には飛び抜けて素晴らしいものではなかった。1軍昇格から3割をキープしてきた状態と比較すると、むしろ少し落ち気味であったのは事実だ。ただ、注目すべきはこの間にチーム最多となる4本の本塁打を放ち、しかも後半戦開幕カードのDeNA2連戦でも2連発。これで4試合連続で7月に入ってから6本塁打の量産体制となる。いよいよ長距離砲としての〝覚醒〟の2文字が、現実味を帯びてきていることである。
「ボールを待たなくなったことですよね」
ここにきての本塁打量産の理由をこう解説するのは大久保博元打撃コーチだった。
確かに7月2日の阪神戦での5号は1ストライクからの2球目を右中間に放ったものだ。11日の広島戦での6号は初球を同じく右中間に。16日のヤクルト戦での7号は1ボールからの2球目をまたも右中間に放り込んで、2試合連発となった17日の8号は初球を高々と打ち上げて右翼席へと運んだものだった。
全て2球目までの球を強振してスタンドへと持っていっている。
首脳陣が評価する秋広の才能「もともと飛ばす力はある」
大久保コーチが指摘するように、4月18日の1軍昇格以降、秋広はじっくりボールを見て、追い込まれても逆方向を中心に巧みなバットコントロールでヒットを放っているイメージが強い。
「ボールをしっかり見ようという意識が強くて、仕掛けが遅くなる。追い込まれたらどうしても強振はできない。でもなまじ器用なんで、そういうバッティングができちゃう。ただ我々はそれは評価しないよって、ずっと言ってきたんです」
大久保コーチの分析だ。
そんな当初の打撃スタイルが、1軍の投手に慣れてきたことで、徐々に変貌してきている。早いカウントからゾーンにきた球を強く振るようになってきた結果が、ここにきての4発に結びついている。
「もともと飛ばす力はある。才能はあるんだから、それが彼の魅力でしょう。それをもっと出さなくちゃ!」
その才能と魅力を満開にした打撃については、大久保コーチら首脳陣も高く評価しているということなのだ。