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「俺は腹をくくったよ」総工費40億円を自前で調達! 岡田武史が語る今治里山スタジアム建設秘話「FC今治は単なるJクラブではない」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byToshio Ninomiya
posted2023/07/23 17:00
今治里山スタジアムでインタビューに応じたFC今治会長の岡田武史(66歳)。建設費40億円をいかにして自前で調達したのか
「やっぱり出来上がってみて思ったけど、こうやって目に見える形になることが大事だと思えた。今まで伝えてきたものを周りの人も“何となく分かる”と感覚にすぎなかったのがこういうことなのかってより理解してもらえるようになったし、本当に出来るんだって思ってもらえたのも大きかったよ。今までの自分もそうだったけど、リスクを冒してでも信じてチャレンジしていけば手を差し伸べてくれる人が絶対に出てくる。本当にありがたかった」
無理だろうと思われたことを、人の思いをつなげて実現させた。まさに共助で出来上がった誇りのスタジアムになった。
スタジアムのこだわりとしては、スタンドとピッチに柵を設けなかったことだ。
「なるべくお金を掛けたくない」のも理由の一つだが、岡田からすれば共助の象徴にそれがあることのほうが不自然だと思えた。
「低いフェンスだったら乗り越えたくもなるんだろうけど、そもそもなかったら入れるのに入らない。それはやっぱりこのスタジアムの理念を、みんなが大切にしてくれているからじゃないかな」
朝、散歩がてらにスタジアムに来ては岡田自らゴミ拾いをすることが少なくない。そうすると同じようにゴミを拾ってくれている“仲間”がいるという。手づくりのスタジアムを、手づくりの運営で支えていく。そんな思いが広がりつつあることを、岡田は感じるようになっている。地元の食材でつくるカフェをクラブが経営し、傾斜のスペースにワイン用のぶどう苗木を植えた。緑と人があふれる「里山」をつくりだす一歩を踏み出した。
心豊かに――。
”異例の謝罪声明”の内容とは…
岡田が異例とも言える謝罪の声明を出したのは5月2日のことだった。FC今治の公式サイトには岡田の名でこう綴られている。一部を抜粋する。