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[日米を知る男の証言]黒田博樹「ジーターと新井貴浩が示したリーダー像」
posted2023/07/21 09:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Getty Images
黒田博樹の「旅」は、一流との出会いの連続だった。広島で、ロサンゼルスで、ニューヨークで、名監督、さらにはメジャーの歴史を彩る選手たちがリーダーシップを発揮する現場を目の当たりにしてきた。
1997年、黒田はカープを振り出しに2008年にはドジャース、'12年にはワールドシリーズ優勝最多27回を誇るヤンキースへと活躍の舞台を移した。黒田にとってアメリカでの野球は離合集散が激しく、チームの雰囲気を醸成していくのは困難だと感じた。
「アメリカに行った時、最初に戸惑ったのは、昨日まで一緒にプレーしていた選手が、今日になったら相手側のダグアウトにいることがごく普通にあったことです。日本と違って、時間をかけて団結力を高めていくのは、難しいことだと気づきました。メジャーでは、目標に向かってジェネラルマネージャーがチームのニーズにフィットする選手を呼び、現場を預かる監督がシーズン162試合をマネージメントしていくというスタイルです」
ドジャースで迎えた2年目、黒田はジョー・トーリ監督から開幕投手に指名される。それはワールドシリーズ優勝を経験した伝説的な監督から黒田が信頼を勝ち得た証拠だった。
「まさか2年目で開幕投手が回って来るとは想像してなかったです。うれしいというより、プレッシャーですよ。僕は中学以来、野球を楽しいと思ったことがなくて、いつでも『結果を残さないと』という恐怖をモチベーションに変えてきました。あの年はバッテリーがキャンプに集まった初日、投手と捕手合わせて50人くらいが集合していて、『うわ、この中で自分が一番先に投げないといけないのか』と、改めて怖さを感じました」