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<KEYMAN of the Game3>
黒田博樹「最後まで不屈であること」 

text by

鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

PROFILE

photograph byHideki Sugiyama

posted2016/11/09 09:00

<KEYMAN of the Game3>黒田博樹「最後まで不屈であること」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

【Game3:Fighters 4-3 Carp】

 気持ちで立ち続けた先に大谷翔平がいた。6回だ。先頭の近藤健介を打席に迎えた時点で広島の先発・黒田博樹は屈伸して、右ふくらはぎをさするような仕草を見せた。

「あの回の先頭からですね……今までにない感じだった」

 右足に感じた違和感。それでも変調を押し殺してマウンドに立ち続けたのには訳がある。ネクストバッターズサークルの背番号11。大谷の姿を視線に捉えて、もう一度、最後の勝負を挑む闘争心が黒田を支えていた。

「この前(第1戦)のピッチングを見て、今日のバッティングを見ると、改めて凄いと思いました。(1、2打席では)しっかり振られましたし、ピッチャーがバッター(ボックス)に立っているという感触ではいけない」


 初回1死一塁から外角のツーシームを左翼線に二塁打されて、中田翔の内野ゴロの間に先制点を許した。4回も先頭で141kmのカットボールを右中間に再び二塁打されている。2打数2安打。自分の意地だけではない。大谷を封じることこそが、広島がこのシリーズを制する鍵であることは分かっている。だからもう一度、チームの勝利をかけた勝負に挑むため、マウンドを降りるわけにはいかなかった。その大谷をカウント1-1からの外角のフォークで左飛に打ち取ると、両ふくらはぎが完全につって力尽きた。

 ベンチ裏でテーピングなどの治療をしてマウンドに戻ると3球投じた。だが、今度は両足のハムストリングにまで違和感が広がり、両手でバツを作ってマウンドを降りた。一塁側を埋める赤いユニフォームのファンだけではない。札幌ドームを埋めた大観衆が、スタンディングオベーションでベンチに戻る背番号15の勇姿を瞼に焼き付けた。

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