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大相撲PRESSBACK NUMBER
<“元人気芸人”からのアドバイスも…>「相撲」も「演技」も素人のスポーツ選手が『サンクチュアリ』でライバル力士を演じられた“意外な秘密”
posted2023/07/21 17:01
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph by
Netflixシリーズ「サンクチュアリ -聖域-」
2023年5月、Netflixで配信されて以降、大きな話題を集めてきたドラマ『サンクチュアリ-聖域-』。一ノ瀬ワタル演じる主人公・猿桜を出稽古で可愛がり、その嫌味なキャラクターと特徴的なもみあげでファンの記憶に残ったのが“馬山部屋のホープ力士”こと馬狩だ。その役を演じたのは、今回が俳優デビューとなった30歳の岩元駿介。現役のアメリカンフットボーラーとして日本一を目指すアスリートは、なぜ畑違いの世界へ足を踏み入れたのか?【全2回の2回目/#1へ】
「こんなに人がいるものなのか」
最初の応募から続く長期のオーディションを経て、どうにかこうにか合格した岩元駿介が『サンクチュアリ』の撮影に入ったのは、2021年の春頃のことだった。
撮影がはじまって最初に驚いたのは、その現場スタッフの多さだった。音声やメイク、スタイリストまで、それまで映像作品を“見る側”でしかなかった岩元にとって、多くのスタッフがひしめく現場は結構な衝撃だった。
「映像に映らない裏側ではこんなにたくさんの人が関わって作っているんだなと。やっぱり最初は慣れていなくて、それだけ多くの人の目が自分を見ているということがちょっと恥ずかしい気持ちもありました」
「演技」も「相撲」も素人だった岩元
実は『サンクチュアリ』の主要キャストの中で、「演技」も「相撲」も素人なのは岩元ただひとりだった。
昨年来続いてきた稽古を通じて元力士俳優たちの見せる相撲のすごさは肌に染みて感じていたが、次に岩元のド肝を抜いたのはプロの俳優たちの見せる「演技」の迫力だった。
「皆さんカメラが回り始めた瞬間に完全に別の人格になるんですよね。纏う空気が変わる。主演の一ノ瀬(ワタル)さんを出稽古でボコボコにするシーンがあるんですけど、その時とか本当に身体が小さくなったように見えるんです。だから周りも演じやすいし、俳優さんってすごいんだなと」
それまでは普通に話していた人が目の前で突如、別人のように豹変する――それはこれまで演技の世界とは無縁だった岩元にとって、経験したことのない衝撃だった。