「単純なぶつかり合いなら…」『サンクチュアリ』撮影参加の一流アメフト選手に聞いてみた「相撲とアメフト、どっちが強い？」

「イワモン、これ受けてみたら？」

　2020年の年明け早々のことだった。突然、岩元駿介のもとにチームの代表から一通のLINEメッセージが届いた。

　そこにはこんなことが書かれていたという。

『相撲を題材としたドラマが某大手配信サービスより配信されます。そのキャストを集めています。条件は体重80kg以上であること』

　さて、どうしたものか。

　岩元はアメリカンフットボール選手である。所属チームのotonari福岡SUNSは社会人のトップリーグであるX1 SUPERリーグに在籍し、その主力でもある岩元は名実ともに日本トップクラスのフットボーラーだった。もちろん、俳優業などやったことはない。

　183cm、140kgという体格を活かし、最前線でぶつかるラインマンとして中央大学で活躍した後、地元九州の銀行に勤めた。数年務めた銀行を退職後は資産運用などをメインに行う会社を経て、不動産会社の代表を務めながら九州で現役選手を続けていた。

日本アメフト界では現役トップクラスのラインマンである岩元／本人提供

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最初は「冗談半分」で受けはじめたオーディション

　ただ、競技を続ける中で思うところがないわけではなかった。

「やっぱりアメフトって日本だと明らかにマイナーな競技です。そこでどんなに“競技レベルが高いんだ”というアピールをしても、新しいファンって増えないなと感じていたんです。まずは選手のことを知ってもらわないことには会場にお客さんも来ない。それなら認知度を上げるために確かにこういう手段もアリなのかなと」

　とはいえ、最初は冗談半分だった。

「『ドラマのオーディション、受けてきたんですよ！』って言えれば、まぁそれだけでも面白いしな」

　そんな想いが大きかったという。その一方で「80kg以上」と「相撲」という条件がつけば、それほど倍率が高くないであろうことも予想できた。だから書類と動画審査を通過した知らせを受けても、「まぁそうだろうなぁ」くらいにしか思わなかったという。

「体重も100kg以上は余裕であるし、現役アスリートですからそこそこ動ける。そうなればそうそう落ちることはないだろうとは思っていました」

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